第7話 こえ

「どうして……」


 意識が朦朧とする中、ヨゾラは声を聞いた。


「貴方も……同じなの……?」


 何を言っているのか聞き取れないが、おそらく女性の声。ああ、さっきまで頭の中で響いていた声だ。


 ……さっき?

 さっきとはいつのことだっけ。


 前後の記憶がはっきりしないヨゾラは、今日一日何が起きていたか記憶を辿った。

 ソルの優勝、その帰り道。トワイの死、ランヴィルの誘い。旅の準備。


「そう……何も知らない貴方を、巻き込むわけにはいかない。きっと、それが幸せなはずだから……」


 その後、ゲノヴァが街を襲って……ソルが……


「だけど、貴方の情報を頂戴。代わりに、力を与えてあげる」


 そうだ、そうだった。

 ソルがゲノヴァに殺された……


「貴方の情報を元に、私の求める存在を……」


 なんで……あいつが……

 死ぬのなら、何もできない俺の方が良かったのに……


「ソル……!」


 自分の中に何かが流れ込んでくる感覚がして、ヨゾラは完全に意識を取り戻した。


「さようなら……」


 何か不思議な力で引っ張られ、暗かった視界が明るくなったと思えば。


「え……?」


 ヨゾラは雲が下に見える高さから、落下していた。

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