サンダルでダッシュ!ー1字違って大間違いー

肥前ロンズ

オチはない。

 夏は夜。

 そう言った清少納言じゃないけれど、年々重ねるごとに暑くなる今日この頃、昼間にでかけたくはないもので。

 かと言って、夕方はアスファルトが散々吸収した熱を放出し始めて暑苦しい。

 そんなわけで、私は風呂場の水を打ち水として再利用していたわけなんだけど。


 外に出ると、お向かいさんの子が、呆然とした様子で道路に立ち尽くしていた。

 裸足で。


「どうしたの? そんなところで裸足で。焼けない?」

「サンダルがダッシュした」


 ……ん?

 聞き間違えたよね?


「ああ、ダッシュしてサンダルが脱げたってこと?」


 そういった時。

 音を立てながら何かがアスファルトの上を滑っている。




 ……ん? 目の錯覚かな。

 そう思った瞬間、今度は逆方向からまたやってくる。それ。













 ダッシュしている。

 サンダルが。

 サンダル『で』ダッシュしたわけではなく。

 誰の手もーーこの場合足もーー借りず、一人でダッシュしている。







 さっきからそのサンダルは、私たちの家を挟む道路を往復しているようだった。


「メル○リで買ってもらったんだ……」

 お向かいさんの子ーー何時もは元気溌剌の小学2年生が、部下と上司の間で苦労する四十代男性のような目をしていた。夕日のせいで、さらに哀愁が漂っている。


「つ、付喪神でも憑いているのかな……?」

「あるいは悪霊かも……」

「ちなみに、何円だったの?」

「300円」

「最低金額だね」


 よほど早く売り払いたかったのか。


「前に売り払った人は……どうやってあのサンダルを捕まえたのかな……?」

「わかんない……どうしよう……このままだと通行車のじゃまになっちゃう」


 よく見ると、彼は汗をびっしょりかいていた。きっとあのサンダルを追いかけたんだろう。

 あのサンダル、時速120キロぐらい動いている気がする。いくらサンダルとはいえ、あんなのが道路で右往左往してたらきっと事故が多発する。

 この道は行き止まりで、使う人は住む人間のみ。けれど、これから車で帰ってくる人は少なくない。

 サンダルごときが人間の進むべき道を邪魔するなんて許せない!

「そうね。どうにかしなくっちゃ」


 事の深刻さを理解した私は、ある方を呼ぶことにした。



 誰を呼ぶ?

1.ターボばあちゃん

https://kakuyomu.jp/works/1177354054910152182/episodes/1177354054914158564

2.走れメロス

https://kakuyomu.jp/works/1177354054910152182/episodes/1177354054914808393

3.ル○バ

https://kakuyomu.jp/works/1177354054910152182/episodes/1177354054915122761


☆どれもろくなことにならないーーーーー!!


 


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る