第4話 やはり京都
写真週刊誌の記者達は、まだ諦めきれない。
『高島萌が、デビュー前から
結婚していて、旦那が京都
のイケメン刑事という話し
は有名だしなぁ。
その旦那が出世して、警察
庁の幹部になってました。
めでたしめでたし。
じゃあ、記事としては、売
れないんですよ。
せめて、写真があれば。
高島萌の旦那は、超イケメ
ンの超エリートだった。
という感じにできそうです
ので。』
まだ食い下がっている。
他の手段に出る記者もいた。
萌が所属している芸能プロダクションに頼み込んだ者までいた。
芸能プロダクションにしてみれば、一般人で警察庁幹部の勘太郎に撮影など頼めるわけがない。
そんな中、警察庁では、記者会見の準備を始めていた。
『神田明神での殺人事件に関
する記者会見を行います。
取材が必要な方は、会議室
にお越し下さい。』
放送が入って、写真週刊誌の面々は、ノロノロと向かった。
事件記者とカメラマンは、全力疾走している。
その差が、明暗を分けた。
会見場に現れた報道官の中央に勘太郎が座ったのだ。
報道バラエティー番組は、大騒ぎになった。
大物議員の長女がめった刺しで殺害されたというショッキングな事件もさることながら。
記者発表の報道官が勘太郎だったので、話題になった。
司会役の報道官が勘太郎の紹介を始めて会場は騒然とした。
『今回は、始めての報道官で
すので、皆さんにご紹介申
し上げます。
警察庁刑事企画課真鍋勘太郎
管理官。
真鍋勘一刑事局長のご子息
です。
階級は、警視正です。
余談ですが、奥様は、皆様
ご存知の女優、高島萌さん
です。』
とやってしまったので、騒然となった。
しかも、警察庁から出てきた2人がセルシオに乗り込む姿が速報されてしまった。
写真週刊誌ルポライターの連中は、してやられた。
フリーのルポライターが、一番嫌がる、めでたしめでたしに持ち込まれてしまった。
しかも、テレビの報道バラエティー番組で、バンバン流れてしまった。
勘太郎のイケメン度も話題には上がったが。
それよりは、勘太郎の実績。
自身の息子を、刑事にさせたがる母親が急増する等、社会現象になってしまった。
1週間後、写真週刊誌ルポライターの1人が、遺体となって、京都神田明神の平将門の首塚前に転がった。
被害者のルポライターは西牟田三次。
『コバ・・・
見てみぃ・・・
本村志織さんばっかりや。
勘太郎の記者会見の写真も
ある。
こいつ、本村志織さんのパ
パラッチかもな。』
『サブ先輩・・・
勘太郎先輩、来てくれます
かね。』
『そんなヒマあるかいな。
本村志織殺人事件との共通
点でも出たら別やけど。』
京都府警察本部鑑識課課長代理になった勘太郎の親友佐武と捜査1課凶行犯係主任として、勘太郎の後を継いだ小林刑事である。
小林刑事の携帯電話が鳴った。
『あれッ・・・?
本部からですわ。
ハイ・・・
小林の携帯。
あッ・・・
えッ・・・
受かったんですか。
おめでとうございます。
えッ・・・
俺も・・・
ハイ・・・。
とにかく、帰還します。』
『サブ先輩・・・
えらいこっちゃです。
木田警部補が、警部の昇進
試験に受からはりました。
俺も、警部補の試験に合格
しました。』
京都府警察本部捜査1課では、大騒ぎになっていた。
本間の刑事部長への昇進。
木田の捜査1課長への昇進。
小林の警部補就任が同時に発表された。
大騒ぎしても当然だろう。
もちろん、警察庁刑事企画課の広域捜査室に速報された。
この日は、室長として、事務処理をしていた勘太郎。
たまたま、休憩で番茶をすすっていた。
『おぅ・・・
小林か・・・
元気か・・・
なんやて・・・
平将門の首塚で・・・
本村志織のパパラッチな。
なるほど。
何・・・
本間警部と木田警部補とお
前までか。
そら大変や。
おめでとう。』
勘太郎は、すぐに本間と木田にお祝いのメッセージをlineした。
その日から3日後。
警視庁捜査1課に1本の電話が入った。
『新藤主任・・・
京都府警鑑識課の佐武課長
代理からお電話です。』
森川警部や鶴薗警部補、小室刑事達が注目した。
そう佐武は、全日本鑑識職務大会で、5年連続優勝している。
日本一の鑑識として有名になっていた。
『よぅ、幸太郎・・・
久し振り。
元気か。』
『ご無沙汰してますサブさん。
サブさんこそお元気で
すか。』
かなり親しげな挨拶から入ったことで、捜査1課の面々は驚いた。
『日本一の鑑識、佐武さんと
お知り合いなんて、新藤先
輩すご過ぎです。』
小室は、興奮している。
ここで、新藤は電話の音声をスピーカーに切り替えた。
『実は、3日前に西牟田三次
ってフリーのルポライター
の殺人遺体が出たんやけ
どな。
警察庁の指紋バンクにアク
セスしてみたら。
本村志織さんの遺留品のバ
ッグにヒットしてしもた。
そっちの事件の何か足しに
なるかもしれへんと思っ
てな。』
西牟田三次は、本村志織のパパラッチとして、すでに捜査線上に浮かんでいたので、皆驚かない。
『西牟田は、こっちでも捜査
線には上がったんですけど
アリバイが・・・
京都で殺されたんですか。』
殺人事件の被害者になるほど恨まれも妬まれもしない程度の小者と思っていた。
その時、ひょっこり捜査1課の部屋を覗いた木田警部。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます