第15話 奇跡
「フェセナ!!」
『皆……?私、生きてる……?』
フェセナは右手を目の前に持ってきて、握ったり開いたり、向きを変えたりする。その間に医者がフェセナから全ての器具を外す。
「フェセナの馬鹿、生きてるに決まってるでしょ!」
「絶対死なせないんだから、変な事言わないでよ!」
「ごめん、皆……。」
「私は……私はっ……。」
「泣かないで……アオ。」
フェセナは寮の手を左手で優しく握って慰める。突然、体が宙に浮く。
「ぐ、グレン!?」
「さ、帰ろう。」
は、恥ずかしい……。お、お姫様だっこなんて……。
グレンはフェセナをソファにゆっくりと降ろし、ジュンが毛布を掛ける。
「ごめんね……。」
「謝らないで、私達の力不足よ。フェセナは悪くないわ。」
「……皆、私は……本当にここに居ても良いの……?」
「“勿論”。」
フェセナは静かに涙を流す。嬉しさで心が痛く、声を潰されてしまい、ただただ涙を流す。それでもグレン達はいつもと同じように笑顔で振る舞いフェセナの心を癒した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます