第14話 危機一髪

「ケイリア!!」


 フェセナは硬く目を閉じ、動かない。が、希望はあった。


「アオ、ジュン、今直ぐケイリアさんを病院へ連れていけ!!今なら間に合う!!」

「グレンも……行ってこい。お前の血……必要になる。」

「えっ……?」

「ど、どういう意味だ?」

「フェセナ、グレンと……同じせき96型の血液……。お前しかフェセナに血をやれない……。」

「わ、分かった!!」

「絶対連れ戻してこい、後で俺達も行く!!」




「皆!」

「良かった、無事だったな。」

「フェセナは、グレンとアオは何処行ったの!?何で軍の……国の最高機密病院なの!?」

「とりあえず落ち着け、フェセナは唯一の生き残り。普通の病院で治療を受けるのは危険だ。アオはフェセナの担当医と話して、俺はお前等を待ってた。グレンは……輸血で貧血気味になってな。今、仮眠中だ。フェセナは自分の目で確認してくれ。」

「じゃ、案内してくれ。」

「こっちだ。」


 ジュンはトコトコ歩いていく。

 リュウ達はそれに続く。


「校長は……?」

「後始末。後で来れれば良いな。」

「……そうだな。」

「ジュン!!」

「どうしたんだ、そんなに慌てて。」

「ふぇ、フェセナに反応があるんだって、皆も急いで!」

「何!?」


 リュウ達は走ってフェセナの病室に入る。そこでは医者とグレンが居てベッドに寝かされている人物を見ていた。

 その病室は真っ白で広い部屋で天井やベッドの頭側の壁から繋がっている管や様々なモニターが沢山あり、その殆どがベッドの上の人物に繋がっていた。


「皆……。」

「……大丈夫か……?」

「ああ。」

「ケイリアさんは……。」


 リュウはつい言葉が詰まる。ベッドに居たのはやはりフェセナでその姿は無残で過酷な物だった。ヘルメットのような機械で耳の辺りまでを覆われて耳さえも隠れてしまっていてそのヘルメットに沢山の管が付いていた。口と鼻を覆うようにして酸素マスクが天井から繋がっていた。両手の指には第一関節までを覆うシリコンのカバー。右腕に輸血用。左に点滴用など、殆どが管と繋がっていてまるでロボットでも作っているかのようだった。他にも両腕首にはリストバンドみたいな物があり、それも管が付いていた。


「フェ、セナ……?」

「傷が深過ぎて、意識がない以上こうしないと生きられないそうだ。」

「そん、な……。」

「良い報せもありますよ。」

「本当ですか!?」

「このペースだと、11時には意識が戻るでしょう。」


 医者はヘルメットのような物を外す。


「でもこの有様。しばらくベッドの上で安静にしてもらいます。」

「退院はいつですか?」

「先程、貴方方の校長と相談した結果、彼女が目覚め次第退院との事です。とてもセキュリティの厳重な所で安静にすると言う条件で。後、彼女が回復するまで貴方達に“学級閉鎖”をするとの事です。」

「分かりました。」


 フェセナの左手の指がピクッと動いた。

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