第13話 隔てる蜘蛛の巣

「はい!!」

『させな「私を前に余所見が出来るのか。」

『ぐああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああ!!』

「何だこれは、堅過ぎるぞ!?」

「魔封結界だ……。魔法じゃ開けられない!!」

「このままじゃフェセナが出血しか溺死しちゃうよ!!」

「落ち着け、この手の魔法は打撃に弱い!!」

「そんな事言ったってただのパンチじゃ「壊すんなら任せろ!!グレン、行くぞ!!」

「ああ!!」


 ―――ごんっ!!


「かってぇ……!!」

「諦めんな、もう1回やんぞ!!」


 2人は全く同じ場所にパンチを入ればパリィィン!!と言う音を立てて結界が割れ、水と共にフェセナがグレン達の背後に流し出される。フェセナ周辺の赤い水はフェセナの血で更に濃くなる。


「フェセ「全員、水から離れろ!!」


 水は突如赤い氷に変化し、自身の血の海に沈むフェセナへの接近を拒む。その間にも血は流れ続け、刻々とフェセナの命の時が、灯が消え始める。


「ヒョウ、溶かせるか!?」

「無理だ、ケイリアの血で氷を溶かせない!!」

「全員離れてろ、モタモタしてたらケイリアが死んじゃう!」


 グレンは氷を豪快に炎の中に閉じ込める。


「ば、馬鹿!!ケイリアさんまで燃え「リュウ、この中に突っ込め!!」

「相変わらず無茶させやがって……!」


 リュウは炎を水の魔法で中和させながら氷の中へ突っ込む。

 氷は少し溶けていて簡単にフェセナの元に辿り着く。


「ケイリアさん、しっかりしろ!!おい!!っ……クソ……!!」


 応答のないフェセナを抱え上げ、皆の元へ戻る。

 アオが止血魔法を唱えながら人工呼吸をする。


「フェセナ、目を覚まして……!!」

「ちょっと脈早くなってきたよ!」

「体温が冷え過ぎたのと出血が多過ぎる……!!直ぐに温めて輸血しないと助からないぞ!!」

「フェセナ……!!」


 フェセナが息を吹き返し、体を横にして飲み込んでいた赤い水を吐き始める。


「ケイリア!!」

「みん、な……。ごめ……ん……。」

「謝るな、俺達の落ち度だ。フェセナが気にする必要はない!」

「皆……。早く、逃げて……。そして、“私の分も生きて”……」


 フェセナは涙を流しながらそう言い残し、気を失った。まるで「もう二度と会えない」とでも言うように。

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