第4話 一泊移住 ~最弱になった者~

「ケイリア、ケイリア!!」

「グレン、何騒いでんだ?」

「ケイリアが倒れたんだ!!魔力が体から零れ出てる!!」

「ま、魔力が!!」


 プローズンはグレンが支えているフェセナの体を診る。

 な、何だこれ……。脈が恐ろしいスピードで弱くなって……。


「プローズン、俺はどうすれば良い!?」

「リュウの所へ運ぶぞ!!」




「よくこの体で動けた物だ……。」

「何か手伝える事、あるか?」

「フェセナに回復魔法を「やれやれ、嫌な予感がしてきてみれば。」

「こ、校長先生!!?」

「彼女のコート、よく見てみなさい。」

「こ、コートを……ですか?」


 土御門はベッドで寝かされているフェセナに結界防御魔法を唱え、フェセナの体を光の膜で包む。

 それはしばらくすると光の加減で姿を消す。

 一方、リュウはコートを見る。コートに回復魔法と結界防御魔法の呪文が刺繍糸で刻まれていた。


「こ、これは!?」

「フェセナの体の傷は深過ぎて今の魔法では治せない。だから気休めなんだ。結界は外界からの攻撃や影響を緩和し守る物。一瞬でこの子は大切な物を全て失った。その深い心の傷の所為で魔法を上手く使えない。そのコートはこの子の本当の父親の物。彼女から取り上げないでやってくれ。」

「で、ですが……学園にはとても強大な結界があります。それじゃ駄目なのですか?」

「それで足りないからそのコートがある。が、出てしまった事により力が弱まり衰弱した。だがこの子に学園よりも強力な結界で包んだ。もう外に出ても大丈夫だろう。」

「何故、この体で入学を許可したんですか……?」

「“彼女を守る為”だ。」

「守る、為……?」

「彼女はまだ“ある者”に追われている。それから逃れる為、この学園の入学を許可した。まだ辛いかも知らないが、彼女の為であり、彼女の希望だ。君達は私より彼女といる時間が長いし私が彼女と長時間共に居ると怪しまれる。だからこの子を頼みたい。」

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