第10話 言霊

 言葉には魂が宿っているらしい。

 言葉に宿る力。それが言霊。

 言ったことが現実になったり(言葉が現実にしてしまうのか?)、嫌なことを言うとその嫌なことが現実になったりする。

 偶然なのか、必然なのか。

 とにかく、言葉は現実に影響を与える。

 それが言葉の持つ力なのだと考えられている、らしい。


 私も言霊は信じる。言葉には力が宿る。

 でもだからって、なんにでも宿るとは思っていない。


 祈りの言葉だったり、魔法使いが使うであろう呪文だったり、祈祷師が使う呪符だったり。教会で歌われる讃美歌も「言葉の力」が込められているように思う。

 そのへんの落書きにも、もしかしたら言霊が宿っているのかもしれない。


 とはいえ、子ども達の歌うデタラメな歌に力があるとは思えへんし、苦肉の策で編み出した同じ意味の言葉が並ぶ作文にも力はないように思う。

 心を込めた言葉だからこそ、言霊が宿る。


 人間は言葉を話す。

 息をするように話す人もいえれば、考え考え、ゆっくり話す人もいて、そのどれも言葉の持つ力は違っていて、不思議とその人の持つ言葉の力の強さは善悪も成否も関係しない。


 さて、私は子ども達に話す言葉でその人の品位が問われるねんで、と諭してきたけれど、我が家の子ども達は口が悪い。めっぽう、悪い。

 品位の欠片もない喋り方をするが、これは親の責任なのかもしれへんなあ。そう、私も旦那様も口は悪い。ほんまに。

 昔は言霊というものがあるのだと思って、汚い言葉は使わなかった。まあ、もちろん両親が厳しくて悪い言葉は使えなかったのもあるけれど。


 世間に言葉が溢れているこの時代に、なんだかもう一度言霊と言うものを考えてみたくなった今日この頃。


 言葉には魂が宿る。知らんけど。

 

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