第666話 助命嘆願
統一歴九十九年五月八日、午前 -
レーマ帝国の
本当は
爵位こそエルネスティーネ・フォン・アルビオンニアの
レーマ帝国において
例えば職や商取引の口利き、婚姻等の縁組、争いごとの仲裁、傷病の際の援助、貧困支援、さらに裁判になった際の弁護その他の支援など
では
そもそも、誰かの
そんな貧乏人が
わざわざクリエンテラなど結んで
自分で
よって、レーマ帝国の貴族の中でも領地を持つ
実際、今朝も『
これには実は昨日、イェルナクに小銭を握らされて脅迫まがいの取次ぎを依頼された家令がイェルナクの時間が出来るように調整した結果でもあった。
ともかく、そうまでして避けようとしたイェルナクとの会談もようやく終わると思っていた矢先、イェルナクが「新たなお願いがございます」などと言いだしたことで、プブリウスは思わず顔を
「新たなお願いだと?」
「ハッ、捕虜たちの処刑についてでございます。」
「せっかく捕らえた捕虜たちの処刑命令、どうか御再考ください!!」
そう言ってイェルナクは下げていた頭を更に深く下げる。プブリウスはそれを椅子に座ったまま見下ろし、フンッと小さく鼻を鳴らした。
「何かと思えば貴官が連れて来た盗賊どもか……
ならんな、アレらは帝国に歯向かった叛逆者だ。
我が軍にも死者が出ておる以上、許すわけにはいかん。」
「許せとまでは申しません!
ですが、あ奴らはメルクリウス団を捕まえるための手がかりです。
殺してしまっては元も子もありません。」
冷然と言い放つプブリウスにイェルナクは追い
「そういえば貴官は昨日、盗賊どもが処刑場に引き立てられようとしているのを止めたそうだな?」
「ハッ!あ奴らを処刑してしまうことで、伯爵閣下が掴もうとしているメルクリウス団逮捕の快挙を逸してしまうのを防ぐためにございます!」
「しかし、既にこれだけ立派な証言記録がすでにあるではないか‥‥‥
盗賊団は他にも居るのだ。今後も多く捕まえることが出来よう。
代わりがいくらでもおるのに、あのような者らなど生かしておいたところで金と食料の無駄ではないか?」
そう言いながらプブリウスは
「いえ!まだ他にも知っていることがあるやもしれません!
それに怪しい奴を捕らえた時、どうやってソイツが此度やつら盗賊団を操ったメルクリウス団の一員であると確認をとらねばなりますまい。
その時、あ奴らがきっと役に立つのです。
どうかそれまで、処刑をお待ちください!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます