第414話 対応部隊
統一歴九十九年五月五日、夜 -
宮殿跡に駐屯していた
彼らは
当然、
その後、ピクトル・ピトー率いる
「西で火の手が上がっただと!?」
「やはり部隊の分断を狙った火計なのかもしれません。
あるいは敗走中の敵中央軍を支援するために、
イェルナクが嬉しそうに言った。自分の予想が当たって存在感を示せている事に満足しているのだが、周囲の者はそうはとらない。レーマ軍が窮地に陥ろうとしているのを喜んでいる風にしか見えず、軍人たちは腹の中で苛立ちを募らせていたが、イェルナクにはそこまで気が回らないようだ。
しかし、イェルナクのその指摘自体はあながち間違っているとも言えなかった。
前方の盗賊団は敗走中ではあるが、見事なまでに逃げに徹しているため被害らしい被害を受けている様子はない。現時点で
もはや
そのような状況で背後から火の手が迫れば、
もしも、
「今すぐ、対応すべきであると愚考いたします。」
イェルナクが胸を張って自信たっぷりに言った。まあ、それくらいの事はここにいる軍人たちにとっては言われるまでも無いことだ。問題は、どう対応するかだ。
そして、イェルナクには知られていないが北から『
今、
となると、残りは
「仕方がない、
カエソーは地図を睨み、顎をさすりながら沈思黙考したのちに意を決したように顔を上げて言った。
西で起きた火災…おそらく敵左翼軍との戦闘が確実と思われる消火活動に対し、
それを聞いて
「よろしいのですか?」
今回、敵である『
今ここで
「うむ、
敵右翼軍はこのまま動かない可能性も無いわけではない。
ここは
カエソーはチラっとイェルナクの方を見てからそう言った。『
「そこまでご配慮いただき感謝に堪えません、
我ら
セプティミウスは特に何の感慨もなさそうな様子で礼を言い、頭を下げた。この場所はアルビオンニア属州の領域であるが、今回の作戦は対メルクリウス作戦の一環と位置付けられており、作戦の指揮権は
「いかがでしょう?
せっかく私も兵を連れてきているのです。
もしお許しいただけるのでしたら、
イェルナクが割って入り、その場にいた軍人たちが一斉にイェルナクに注目する。
「先ほどもそのようにおっしゃっておられたが、兵と言ってもわずか十二人ではありませんでしたかな?
それも、イェルナク殿の御本人の護衛のはず。
まさかイェルナク殿自ら戦場に出られるおつもりか?」
カエソーは一度全員の顔を見渡した後、イェルナクに真意を問いただした。
どうせまた口先だけのおべんちゃらだろうが、本気で言っているのなら邪険にすることも出来ない。一応、
しかし、だからと言って下手な戦線へ投入してイェルナクに戦死されては困る。ここでイェルナクの兵を借りて万が一手柄でも挙げられてしまうと、
イェルナクは大方の予想を裏切って胸を張った。
「もちろん、私自ら戦場に立ちましょう。
私だって軍人です。
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