第384話 想定外の被害
統一歴九十九年五月五日、未明 - ブルグトアドルフ
「では正面の警戒と死傷者の回収は
《
正面の敵を撃破した
いったい何をやってるんだ…
ほんの二~三
敵を一撃してひるませ、ブルグトアドルフへ向かう…そのことは
一個
愚策だった。
森林は
だがそうはならなかった。
再集結を命じるが信号弾を打ち上げても森の中からでは見えないし、あまりにも広い範囲に散った
おかげでブルグトアドルフへ即座に向かわせるはずだった
「まったく…誰か、香茶を頼む」
頭を切り替えるべきだと気づき、セプティミウスは従兵にお茶を催促する。従兵が湯気の立ち昇る
「伝令!伝令!!」
「何事か!?」
「伝令!!…ハァハァ、じ、自分は、
セルウィウスが寄こした伝令となると、持ってきた情報は今セプティミウスが関心を寄せている最大の懸念、ブルグトアドルフの情勢に違いない。周囲にいた者たちも含め一斉にストリウスに注目する。
「おう、どうなっておる!?」
「ハッ!
ブルグトアドルフの賊は一掃しました!!」
周囲から「おお~」という歓声が沸き起こる。セプティミウス自身も頬が緩むのを禁じ得なかった。だが続けて発せられた報告は彼らの歓心を帳消しにするには十分だった。
「されど!
被害甚大!
負傷者多数!!」
「何だと!?」
「
住民たちの犠牲も大きく、死傷者はおそらく百人近いかと…」
セプティミウスの顔から血の気が引き始めた。
「
「ハッ!…自分が把握している限りでは、軽傷者が数名程度かと…」
セプティミウスはふぅ~っと息を吐きながらドスンとよろける様に椅子に腰を降ろし、頭を抱える。
「それで、
ストリウスの一言にセプティミウスは自分が一人の世界に入り込みかけていたことに気付き、現実に引き戻された。バッと顔をあげストリウスの方を見る。
「そうだ、
「ハッ、負傷者が多すぎて手が回りませぬ故、大至急救援を求むと…」
「う、うぅ~む…」
セプティミウスは渋面を作って呻った。
もちろん応援は派遣したい、派遣したいが派遣予定だった
「わかった、準備が整い次第派遣する。
だが、今派遣予定だった
引き続き、このまま負傷者の救助と保護に当たれと伝えよ。」
セプティミウスの下した結論は現状維持だった。彼としては他に何もできないのだからしょうがない。だが、現地でこの世の地獄ともいえる状況を見てきたストリウスからすれば手ブラで帰るわけにはいかなかった。
「せめて、怪我人たちをこちらに収容できませんか?
今のままでは「ならん!」」
セプティミウスはストリウスの提案を遮った。
「ここはここでまだ周囲に賊が潜んでおる。
ここも安全というわけではない。」
「ですが、ここならまだ怪我人の手当てに当たれる人手があります。
危険なのは向こうも同じ、ならせめて「いやっ!」」
セプティミウスはやはり最後まで言わせなかった。
ストリウスの言いたいことは分かる。被害に遭った住民や
だが、彼の提案どおり住民を招き入れればどうなるか?
セプティミウスが最優先しなければならないのはルクレティアの警護だ。住民の保護はついでで協力しているにすぎない。優先順位を覆すわけにはいかないのだ。
ここで住民を
「それは、ダメだ…忘れるな。我々には任務があることを。」
しかし、却下の理由をあからさまに言うことは出来ない。周囲にいる
「!…で、ですがそれでは住民たちは…」
「そうだな…ポーションは放出する。包帯もだ。
だが、それ以上は…「報告します!」」
セプティミウスが言葉選びに苦心しているところで、ルクレティアの下へ送った
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