ブルグトアドルフの被害
第383話 戦況報告
統一歴九十九年五月五日、未明 - ブルグトアドルフ宿駅/アルビオンニウム
今、ルクレティアたちが控えている
とはいっても護衛隊長のセルウィウス・カウデクスはもちろん、今回の戦闘の総指揮を執っている
ただ、それでも一応今回の旅の主役であるルクレティアを落ち着かせるため、定期的に伝令役を務める
「では、正面の賊は追い払えたのですね?」
「はい、賊は既に逃げ散っており残っていません。
我が
今は死傷者の回収を行っております。」
ルクレティアを通じて《
森林のような障害物の多い場所での爆弾の使用は威力がどうしても減じられてしまう傾向がある。だがハンマー投げの要領で運搬用のバッグごと木立の中へ向かって投げ込まれた
本来、敵の銃撃を避けるには絶好の森林に隠れていたにもかかわらず、盗賊たちは頭上、あるいは頭や肩ぐらいの高さで爆発した
その周辺には約五十人の盗賊が隠れていた。もっとも、広く
北東方面に広く散開して布陣していた五十人の盗賊たちのど真ん中で爆発した十六発の
彼らの左右に布陣していた者たちもまた、状況を完全に見誤った。連続した爆発音と膨大かつ濃密な煙幕。そして悲鳴と絶叫…それにより、戦場という状況にまったく慣れていない彼らは煙で覆われた場所より向こう側にいる仲間全員がたったの一撃でやられてしまったと勘違いしてしまったのだ。
五十人ちかく仲間が安全と思っていた森に隠れていたのにいきなり攻撃され、しかもたったの一撃で四十人近くやられてしまった!?
そこへ追い打ちの様に撃ち込まれた一斉射撃の銃声は、銃弾が自分たちの方には飛んできていなかったにもかかわらず、被害を受けていなかった者たちの士気を完全に粉砕してしまった。盗賊たちは我先にと悲鳴を上げながら逃げ出してしまったのである。
その後、
所要時間は五分もかかっていただろうか?
戦列歩兵戦術が主流の
「では、ブルグトアドルフの状況はどうなっていますか?」
「そちらはまだ何とも、ですが我が
状況は間もなく明らかになるでしょう。」
おそらく盗賊たちが罠を張っていたであろうブルグトアドルフの町、そこへ救援に向かったシュテファン・ツヴァイク率いる
「ブルグトアドルフの状況次第ではありますが、周辺の賊はおおむね撃退できたものと
ですが、裏手に潜んでいるという少人数の動静が未だはっきりしません。どうかご油断召されませぬよう、今しばらくこのままお待ちください。」
セプティミウスは手元に残っている
その防衛体制について既に説明は受けていたが、戦況が収束に向かいつつある今になってもまだ裏手からの侵入者は現れていない。ルクレティアは自然と、そばに
「《
ルクレティアが呼びかけると、《
「《
裏に潜んでいた賊は今どのような様子でしょうか?」
ルクレティアが《
だが、《
『わからん』
「わから…ない?」
困惑しているルクレティアの様子に、《
『ここへ来ようとしたが、ワシが用意した罠にかかって逃げ帰った。
もう遠くへ行ってしまったから、今どうしているのかわからん。』
「えっと…」
『使い魔を使えば探せるが?』
「いえ、そこまでしていただく必要はございません。
ですが、恐れ入ります。罠とはいったい?」
『連中のいた森とここの間に沼を作り出し、低位のモンスターを召喚した。』
「モンスター!?」
ルクレティアが目を丸くして驚くと、室内に「モンスターとは何事だ?」とざわめきが起る。
『
しつこいから最後は
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