第378話 放たれた猟犬
統一歴九十九年五月五日、未明 - ブルクトアドルフ/アルビオンニウム
先行したシュテファン・ツヴァイクの騎馬隊を追いかけ、
「あいつ、いったいどこへ行ったんだ!?」
セルウィウスの目の前には路上に投げ捨てられた
セルウィウスの
「家に帰っちまったんじゃないですかね?」
セルウィウス直属の
「家?」
「ええ、たしか…町から逃げてきたっていう通報者、あれ
皮なめし作業には大量の犬の糞や消石灰を使うため、皮なめし工房は悪臭被害を避けるため町から離れたところに建てられる。
「だが、それなら何で松明を持って行かないんだ?」
セルウィウスは足元に転がる松明を拾い上げ、部下たちを振り返りながら問いかける。だが、その疑問にまともに答えられるものは居なかった。
「さあ…目立つから?」
「月が明るいから、松明無くても見えねぇこた無ぇもんな。」
「邪魔だった?」
部下たちは口々に適当な答えを言ってみるが、どれ一つとして納得のいくものはなかった。セルウィウスはわけがわからんとでも言うように眉を上げ、顔をしかめて手に持った松明を見る。
ピィィィーーーーーーッ!!
その時、町の方から甲高い笛の音が聞こえた。
「「「「!?」」」」
セルウィウスたちは一斉に町の方へ視線を向けて身構える。すると遠くで怒号とも
「何だ?」
町の真ん中…右へカーブするライムント街道の曲がった先で大きな火が燃えているらしく、街道の左側の並んだ建物が右から降り注ぐ光でわずかにオレンジ色に照らされている。その光が作り出す影がわずかに揺らめき、やがて…
バンッ!ババババン!バンッ!バンッ!
夜の静寂には不釣り合いな爆発音が連続して鳴り響いた。馬の嘶き声、悲鳴と怒号、そして歓声が続いて聞こえる。
「ケ、
「あの音はまさか!?」
「バカな」
「
「なんてこった」
「
だが、
他に
セルウィウスは振り返って命令する。
「行くぞ!第四から第六までの
他は街道沿いに進むぞ!
多分、家の中に賊が潜んでいる!全部狩り出せ!!小さい町だ!我々だけでも人数は十分だろう。
敵は
今から弾を込めろ!見つけたら容赦なく撃て!」
「でも
「住民は集められて縛られてるって話だから大丈夫だ!
一応声はかけても良いが、住民を名乗ったとしても油断するな。
賊が住民に成りすまして逃げようとしているかもしれん。
ぶん殴って気絶させとけ!
今、この町で自由に動けてる奴は全員敵だ!かかれ!!」
戦列歩兵は銃弾を浴びて歩兵が
しかし、レーマ軍の場合は銃砲弾を急減速させる魔法効果を付与された
ただ、どちらにしても言えることはどれだけ正確な隊形を保つかが戦力発揮の肝であり、そうであるがゆえに機動力でどうしても劣ってしまう。身軽な盗賊を追いかけるのは、陣形を保ちながらでは無理なのだ。
が、それはレーマ軍の
そこで登場するのが
そして少人数ごとに分かれて戦う
セルウィウスが率いてきたのはその
通常、
軍と同じ武器を持っていると言っても所詮は
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