陣営本部・リュキスカの波紋
第193話 いきなり露見!?
統一歴九十九年四月十七日、午後 - マニウス要塞陣営本部/アルトリウシア
リュウイチが寄宿している方を見てみよう。
私的エリアのうちの西側(田の字の右上部分)が
私的エリアの西側(田の字の左上部分)は
公的エリア(田の字の下半分)は
現在、
公的エリアはクィントゥス率いる
さて、ルクレティアはというと、
南半球の南側の部屋なので日当たりは良くないし、リュウイチの部屋から一番離れてはいるが、部屋の入口からは
そして何よりも、
ルクレティアはちゃんと考えてこの部屋を選んだのである。
その甲斐あって、ルクレティアは自身の
開け放たれた窓から馬の
「何かしら?」
「見てまいりましょうか?」
「いえ、いいわ。」
ルクレティアは丁度風呂からあがったところで、浴室から
着替えを手伝っていた侍女たちが様子を見に行こうとするのを止め、自ら窓へ歩み寄って外を見下ろすと、アルトリウスとクィントゥスが部下たちを従えてぞろぞろと敷地に入ってくるのが見えた。その中にリュウイチの奴隷二人が混ざっている。しかも、その内の一人は赤ん坊を抱いていた。
「?」
今日、
八人いる筈の奴隷が足らない。まあ、それくらいは特に不思議がる事でもない。彼らも要塞外への外出は制限されているが、要塞内を出歩く分には自由ということになっているし、何か用事で出かけているのかもしれない。いや、単に順番で
ただ、残っている奴隷も妙に態度がおかしかった。
ルクレティアは高位の
奴隷たちはルクレティアが声をかけるとひどく
しかし、今日に限っては畏まるというより、おびえたような態度を取るのだ。何か後ろめたい事でもあるかのような、イタズラを隠している子供のような態度だ。いつもとは違った緊張の仕方で、ルクレティアが話しかけると答えるまでの間、いちいち目が泳ぐのだ。
おまけに彼らは二階には用など無い筈なのに、今日は何故かちょくちょく二階へ上がって来る。たまに
何かあるようだが何があるかは分からない。
そこへアルトリウスとクィントゥスが何故か赤ん坊を抱えた奴隷と共に戻ってきた。
ルクレティアは意を決して部屋から飛び出した。
「お帰りなさいまし、
「うむ、
「へぃ、
「
「お戻りですが、まだ
クィントゥスは出迎えたリウィウスと歩きながら状況を確認した。
「今どこにいる?」
「
クィントゥスは立ち止まってアルトリウスを見た。
「では
「うむ、呼び出して適当に時間を稼げばよいのだな?」
「はい、その間に我らでこの子を
「あの、申告します!」
クィントゥスとアルトリウスが打ち合わせをしているところへ赤ん坊を抱えたオトが声をかける。何と声をかけるべきかわからず、軍人のような口調だ。
「何だ?」
「その、この赤ん坊は
病気とは聞いていましたが、弱りすぎてて今にも死にそうです。」
赤ん坊の顔は青く、息も
「だが、診せれば確実にバレるぞ。今は
「なら時間を稼ぐのではなく、いっそ
元々、
「いや、ああ・・・」
正直言ってそんな面倒くさそうな事は請け負いたくないアルトリウスが困っていると、背後から声がした。
「誰に何を知られたくないんですって!?」
振り返ればそこにルクレティアがいた。
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