第18話
「申し訳ないが、俺が愛しているのは今でも愛子だけだから…君との事は本当に遊びでしかなかった。君の気持ちを弄んでしまった事に対しては謝る。すまなかった。」お義兄さんが頭を下げた。が直ぐに顔を上げ、中川恵を凝視した。
「だが、これは俺達、大人の問題だ。何故、琳を巻き込んだ?幼い琳を…」
固く握られた手が震えているのが見えた。
「琳ちゃんがいけないのよ。急に車の中で泣きながらママ、ママって言いだすから。私がママになるよって言っても泣き止まなくてムカついたのよ。」
「それで琳を殺したのか?」さっきまで冷静だったお義兄さんが怒鳴った。
「違う、違うの。あたし、殺すつもりはなかったの。ちょっと静かにしてもらおうと思って口を押えたら息が止まってて…」と発狂したような口調で言い訳をしていた。それを聞いて絶句した。
琳、可哀そうに、こんな自分勝手な奴に命を奪われて…涙が溢れて止まらなかった。お義兄さんはその場にうずくまり拳を床に叩きながら
「…琳…俺のせいで…ごめん…ごめん…」と泣きじゃくっていた。
俺はその姿を慰めることなく見ていた。暫くしてお義兄さんが静かに立ち上がり中川恵に向かって
「俺は君を許さない。これから君を火葬する。葬式だよ。有難く思うんだ。」
「イヤ、やめて、お願い、奏一朗さん!ごめんなさい…助けて…」
棺桶がグラグラと揺れる位に中で暴れだした。
とその時、パトカーのサイレンが聞こえた。
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