第14話

お義兄さんがゆっくりと話し始めた。

「俺は家庭を壊すつもりはなかったんだ。こう言ったら都合がいいとしか聞こえないだろうが…本当に少しの遊びのつもりだったんだ。だから…愛子には申し訳ないと謝ったんだ。初めは許してくれなかったけど、何度も説得していくうちに、愛子が少しずつやり直そうとしてくれるようになってきたんだ。そんな時に中川恵が離婚することになってね、子ども達も旦那さんの方に行って居なくなった途端に俺達家族に嫌がらせするようになったんだ。」

お義兄さんが頭を抱えながら話を続けた。

「毎日毎日、夜中に嫌がらせの電話やファックスが続いて、愛子がノイローゼ気味になってしまったんだ。だからこれ以上一緒に居たら愛子や琳が耐えられないし、何されるか分からない恐怖を感じて…離婚したんだよ。」そんな事があったなんて全然知らなかった。お義兄さんは姉貴と琳を想って離れたんだ、捨てた訳じゃなかったんだ。そうなると益々、中川恵に対しての怒りが込み上げてきた。お義兄さんがゆっくりと顔を上げ俺を見て話を続けた。

「海斗君にお願いがあるんだ。」

「俺に出来る事があるなら何でも言って下さい。」お義兄さんの顔に覚悟のようなものが見えた。俺はそれに従おうと誓った。

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