第13話

俺は隣町に向かった。スミレちゃんママにお願いして他のママ友の中で中川仁の母親の恵と仲が良かった人から住所を教えてもらった。スミレちゃんママが心配していたが、警察に教える為だと納得させて聞き出した。教えてもらった住所に着いた俺は少し離れた場所に車を停めて、車内から家の様子を見ていた。離婚後の中川恵は近くのスーパーでパートの仕事をしているとの話だった。入園式の時の写真を写メらせてもらってきた。顔は覚えた。後は中川恵が琳を殺したのか確かめるんだ。

暫くすると一台の車が入っていくのが見えた。顔を確かめようと車を降りようとした時、助手席のドアが開いて人が乗ってきた。その顔を見て思わず叫んでしまった。

「お義兄さん!」

「久しぶり、海斗君…。」

「…何で…ここに?」

「琳が亡くなった事を知らせてくれた人が居てね。愛子に連絡したら、君がスミレちゃんママに話を聞きに行ってから連絡が取れないと言うから、スミレちゃんママに会いに行ったんだ。話を聞いて、もしかしたら彼女の所に行ったんじゃないかと思って来てみたら、君の車が見えた。」それを聞いて俺は携帯を確認した。姉貴や親父、スミレちゃんママからの着信が数分おきにきていた。

「海斗君、何をしようとしている?」

「お義兄さんには関係ないです。」俺はキッパリと言った。

「琳が居なくなったのは俺のせいなんだ。俺が確かめるよ。」

「お義兄さん、俺は中川恵を許す訳にはいかないんです。琳がどんなに怖い思いして殺されていったのか…」俺は怒りと悲しみで手が震えていた。そんな俺の姿を見たお義兄さんが

「君が手を下す事はないよ。俺が琳の仇を討つから…それに君が会いに行っても彼女は出て来ないだろうし…。」

「それでもお義兄さんは中川恵と少しの間でも愛し合った仲じゃないですか。そんな人に裁けるはずないでしょ!」俺は強気に言い放った。

「俺は…」お義兄さんが言葉に詰まった。

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