第10話
警察の暗い廊下を進み、一つの扉の前で警察官が止まった。
「お顔の確認はご家族でどなたか一人お願いします。琳さんではない可能性もありますので。」
「分かりました。姉貴、行けるか?…俺が行こうか?」姉貴に問い掛けた。
「…大丈夫…琳じゃないかもしれないし…私が確認します。」
「では、中にどうぞ。」警察官と姉貴が中に入りドアが閉まった。外で待つ俺達みんなが琳ではありませんようにと願っていた。
「ああー琳!琳、起きて、お願い!」と中から姉貴の悲鳴と琳を呼ぶ声が聞こえた。その言葉に俺たちは驚き、ドアを勢いよく開けて中に入った。そこには青白く冷たくなった琳が白い布をかけられて横になっていた。琳を抱くように泣き叫ぶ姉貴の背中に母さんと志穂が寄り添って泣いた。
「琳…おじちゃんだよ…まだ寝てるのか…起きて一緒に遊ぼう…。」
俺は琳の顔を撫でた。冷たくなった顔の感触に
「琳、おじちゃんのお嫁さんになるんだろ?…起きろ…起きてくれ…頼む、琳」
俺は琳を揺すりながら起きてくれと叫んでいた。
「海斗!落ち着け!」親父に止められた。
「なんでだよ、親父!琳を起こすんだよ!」俺は泣きながら親父の胸ぐらを掴んでいた。そんな俺を親父は力強く抱きしめた。親父に抱きしめられながら俺は号泣した。
警察から誘拐殺人事件として捜査本部を立てると聞かされた。しばらく検視の為、琳の遺体は警察が預かるとの事だった。俺は琳を殺した奴が許せなかった。警察より先に見つけて俺が琳の仇を討ってやるからと天国の琳に誓った。
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