第9話
陽が昇りだし段々と街の様子が解るような時間帯になってきていた。一晩捜したが見つからなかった。一旦、家の戻ると親父達も戻ってきていた。
「警察からは?」
「…まだ」姉貴が呟くように言った。
「そっか…」
「志穂さんも捜してくれたのよ。」母さんがコップに入った水を持ってきながら言った。その水を一気に飲んだ。
「志穂…ありがとう。」
「見つけてあげられなくてごめん。」
「謝る事ないよ。俺だって…。」皆が項垂れ、疲れ切ってソファに座っていた。
「よし、まだ捜していない所があるかもしれないから洗い直そう。」と俺は琳が居そうでまだ行っていない所をもう一回捜そうと皆を奮い立たせていた。
その時、電話が鳴った。
「はい、間宮です。」姉貴が電話を取った。そこに居た全員が琳が見つかった電話だと期待した。警察からだった。
「……え、はい………。」電話を持ったまま姉貴が嗚咽し、その場に崩れてしまったので俺が変わった。
「もしもし、お電話変わりました。マジですか?…はい…はい…分かりました。直ぐに行きます。」電話を切った。親父が心配した顔で
「なんだって?」
「警察から…隣町の河川敷で琳とよく似た服を着ている女の子の遺体が見つかったから確認に来てくれって…。」
「おいおい、嘘だろ!」親父が怒鳴るように言った。母さんはその場に崩れ落ち、志穂は口を押えながら「そんな…」と呟いた。
「まだ琳とは決まってないよ。警察もご家族に顔を確認して欲しいって事だし…それに決まっていないから捜索は続けるって言ってるし…。」
「そっか…愛子、行けるか?」親父が姉貴に声を掛けた。母さんと志穂が姉貴の背中を擦り寄り添っていた。
「…みんなで行きましょうよ…ね…。」母さんが語り掛けるように静かに親父に言った。
「そうだな…みんなで行こう。」意気消沈している姉貴を皆で支え警察に向かった。
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