第6話

俺が休みでも志穂は仕事の場合もあるので、そんな時は琳を連れてアウトレットに行くのが日課になっていた。もちろん志穂に会いに行くのが一番の目的なんだけど、そこは琳には内緒にしていた。

でも最近、琳が気付き始めているのか広場に行って、俺と志穂が話すと琳の顔がムッとするのが分かる。

「琳ちゃん、こんにちは。」

「こんにちは。」と挨拶するものの俺の足をギュッと掴んで隠れるように立っていた。

「私、嫌われちゃったのかな?」

「そんな事ないと思うよ。焼きもちだな。俺もモテ期来てるなぁ。」

「じゃあ、私のライバルは琳ちゃんなのね。」その言葉が聞こえたらしく琳から

「おじちゃんのお嫁さんは琳だからね。」と志穂に対して宣戦布告していた。

「大丈夫だよ、俺のお嫁さんは琳だから。」そう言って琳を抱っこすると

「うん!」と抱き付いてきた。その様子を見ていた志穂がムッとしていた。

姪に焼きもち焼いてどうするんだよと思いながらも、そんな志穂が可愛く見えた。

琳には見えないように志穂の頭を撫でながら

「仕事が終わったら会いたい。」と小声で言うと笑顔に戻った。

二人の女を同時に宥めるのも大変だな、なんて思いながらも楽しんでいた。


仕事が終わった志穂から連絡がきたので、近くのファミレスで待ち合わせした。

「お疲れ様。」

「お疲れ様、待った?」

「ううん、そうでもないよ。」お互い好きな物を注文した。初めは敬語だった志穂も最近は距離が縮んだのか普通に話してくれるようになった。

「出かけるのに琳ちゃん、大丈夫だった?」

「そうなんだよ、琳も行くとか言い出してさ。」

「よく出て来られたね。」

「会社の人と飲み会だから、お酒の席には連れて行かれないんだよって話したら納得してくれた。」

「琳ちゃんがライバルなんて敵わないなぁ。」と志穂が背もたれに背中を押し付けながら溜息をついた。俺はその姿を見て笑ってしまった。

「なんで笑うの?」志穂がムッとする。

「だって姪だろ。三歳に焼きもち焼く志穂が可愛いと思ってさ。」志穂の頬が赤く染まった。

「だって…」と口が尖った。

「志穂も琳も大好きだよ。だけど愛しているのは志穂だけだから。」志穂を見つめながら真剣な顔で言った。

「…ありがとう。私も海斗、好き。」恥ずかしそうに言ってくれた。

食事を食べ終わる頃に俺は

「志穂…まだ一緒にいたい。」その言葉に少し驚くも小さく頷いてくれた。

ファミレスを出て手を繋いで歩いた。ホテルの前に着いて俺は志穂に

「志穂の全てが知りたい。」と伝えた。志穂が小さく「うん。」と頷いてくれた。

ホテルの部屋に入り俺たちは愛を確かめるように何度も愛し合った。

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