第5話

彼女と連絡先を交換してからは毎日やりとりしていた。仕事と家の往復以外に対した楽しみもなかった俺の人生が一変したように毎日楽しく過ごしていた。

よく薔薇色の人生って言う人がいるが、前の俺はそんなのある訳ないと馬鹿にしていた。でも今は本当に薔薇色ってあるんだなとそんな気分に浸っていた。

二人の休みが合う日に食事に誘った。

逸る気持ちもあり三十分も早く待ち合わせ場所に着いた。

待ち合わせの時間近くになり彼女が走ってきた。

「ごめんなさい、待ちましたか?」と息を切らしながらきた。

「ううん、俺もさっき来たから。」と気持ちを悟られないように伝えた。

「どこか行きたい所ある?」と並んで歩きながら彼女に聞いた。

「間宮さんのお勧めの所は何処ですか?」

「映画でもどうかと思って。」

「いいですね。」

「その前にお願いがあるんだけど…。」

「何ですか?」彼女が俺を見た。

「貴女の事、名前で呼びたいんだけど…いい?」

「はい。是非呼んで下さい。」と笑顔で答えてくれたので

「志穂さん…」呼んでみた。

「はい!」可愛いと叫びたくなってしまう位、可愛いと思った。

俺は調子に乗って

「志穂…」

「はい。」志穂の顔が赤く染まった。マジで可愛いなぁと見とれてしまった。でもまだ志穂との距離は縮まっていないと感じたので

「俺の事も名前で呼んで欲しい…」

その言葉にビックリしたのか俺の顔を凝視していた。

「海斗って呼んでみて。」

「…海斗……さん…」小さい声で言ったので志穂を困らせてみたくなり

「聞こえなかったなぁ。」と志穂の口元に耳を近づけて

「もう一回言って。」

「…海斗…さん。」

「さんは要らないけど、まぁ今日は許してあげるよ。早く慣れてね。」

「うん。頑張る。」素直な志穂を見て益々好きになっていった。

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