タケル・ロールプレイング3

 無事、朝日を見れることができた。


「……おれ、やったよ……」


 誰に言ってるかわからないが、なぜか朝日に向かって祈りを捧げた。


 このまま眠ってしまいたいが、こんなところで眠ったら碌にならないことは目に見えている。急いで立ち去らないと!


 木から下り、道に戻って先を進んだ。


 二時間ほど進むと、畑があった。いや、畑だったものがあった。


「人里があるのか?」


 わからないがあると信じて先を進んだら突然、森を抜けた。


 畑が広がり、その遥か先に町みたいなものがあった。


「中世ヨーロッパ的な感じかな?」


 いや、中世ヨーロッパがどんなもん知らないけど! ましてやファンタジー風味が混ざっているとなると想像もできんよ! 


 すぐにでも町にいきたいところだが、言葉が通じるかもわからないし、ジャージ姿で入れるかもわからない。お金だってない。売れるもの──。


「──そうだ! スマホ!」


 ネットスーパーが使えるとか言ってたよ。ってか、基本装備とか言ってなかったか? 


 基本装備はと収納鞄に手を突っ込んだら、どこぞの軍隊が使ってそうなタクティカルスーツ一式が出てきた。


「いや、ジャージよりおかしいだろ! こんなの着てたら注目の的だよ! 排除されるよ!」


 あの試練の神、頭おかしいんじゃないの!? それともこれも試練なのか? 意味がわからなすぎて気がおかしくなるわ!


「なんなんだよ。こんなわけのわからない異世界転生なんて初めてだよ! いや、異世界転生はこれが初めてだけど!」


 なに一人ノリ突っ込みしてんだよ! アホか、おれは!


「……お、落ち着け、おれ。現実を受け止めろ……」


 酸欠になるくらい深呼吸をしたら頭痛が痛くなってきた。いや、ぶっ壊れすぎだろう、おれ!


 収納鞄からペットボトルを出し、頭からぶっかけて頭を冷やした。


「よし。落ち着いた。おれは大丈夫だ」


 ペットボトルをもう一本出して喉を潤す。あーカルピス飲みたい。


 タクティカルスーツは仕舞い、ベストだけ着ることにした。ショットガンの弾が入るケースが取り付けられ、八発だけ残ったからだ。


「グロックの弾は全滅か。まあ、マガジンが三十以上あったのはスルーだけどな」


 スマホを出して電源(?)を入れると、なぜかコーヒーカップのロゴが表れ、ホーム画面になった。


「電話、できるんだ」


 と言うか、スマホが通じる世界なのか? どんなファンタジー世界だよ、ここは?


「お城のようなアプリがネットスーパーか?」


 開いてみると、ビンゴ。カイナーズホームと出た。


「どこのホームセンターだよ」


 なんて突っ込みながらネットスーパーの欄をクリックすると、いろいろな項目になった。


「……なんでもあるな……」


 ネット通販なんてしたことないが、品揃え充実なのはわかった。


「ん? 武器? 兵器? はあ?」


 項目をスクロールしていったらそんな項目が表示された。


 こめかみ辺りを指でゴリゴリしてから水を飲み、深呼吸を三回。心を落ち着かせてから武器の項目をクリック。さらに分類分けした項目が表示された。


「……どこのブラックマーケットに繋がったんだろう……?」


 ってくらい、いろんな武器が売られていた。子どもの小遣いで買えるような値段でな!


「グロック17が八十円って、原価いくらだよ!」


 しかも弾は百発で十円とか価格破壊にもほどがあるだろう。利益でんのかよ!?


「いくら安くても金がなけ……ん?」


 気がつかなかったが、画面の上に¥128803って表示されていた。

 

「……準備金とかなら中途半端な金額だよな……?」


 ¥100000ならわかる。だが、¥28803はなんだ? 増えたのか? 減ったのか? なんなんだ?


「ま、まあ、いい。金があるんだからな 


 おそらく、これで買えるし、この安さならしばらくは困らない。弾も補充できる!


 試しにグロックの弾を二百発ポチッてみると、チャリンって音がして発送の文字が出た。


「……どうなるんだ……?」


 辺りを見回すが、これと言った変化はない。緊張が解けたとき、目の前に妖精が現れた。


「タケル様、お届け物で~す!」


 びっくりするおれに構わず、妖精はどこからか段ボール箱を出して目の前に置くとにっこり笑って消えてしまった。


 ………………。


 …………。


 ……。


「はあ? え? えぇえぇぇぇぇぇっ!?」

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村人転生~最強のスローライフ番外編 タカハシあん @antakahasi

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