第17話「リベンジ」

2071年3月


今日は開能中学・高校で3年生の卒業式だった。


帰り道 河川敷


草薙くらなぎ「おいっ!月見つきみっ!」


草薙くさなぎは帰宅途中の月見つきみを呼び止めた。いつも通り5人の舎弟を引き連れている。


草薙「もう1度俺と戦え!もちろん、お前に拒否権はないっ!!」


月見「嫌だ、お前弱いもん」


草薙「俺が…弱いだと…」


草薙はいつも通り激昂げっこうした。


草薙「今にづらかかせてやる…」


すると草薙は舎弟達の5体の影を呼び起こした。


草薙「貴様の特殊能力エボリティ神経伝達物質エムピミンが使えなくなるなら、始めから使い切ったらいい…」


「勝つべくして勝つだっ!悪く思うな〜っ!!」


そういうと5体の影は月見を襲った。


月見「面白い」


1体毎に特殊能力エボリティがあり、月見は攻撃を交わす事で精一杯のようだ。


月見「{まずいな}」


月見は最大出力で影を殴り、なんとか一体を消滅させられたが、その隙に残り4体からの攻撃を受けた。


月見「うっ…」


月見「{思ったより、1体1体が強い…残り4体…「奪感だっかん」の特殊能力エボリティを使うか…}」


月見は大量の神経伝達物質エムピミンを消費する代わりに、影4体の第6感を使用不能にした。

そして月見はまたたに影を消滅させていった。


月見「はぁ、はぁ、はぁ…これで終わりだろ?」


月見がそう言うと草薙は不敵ふてきな笑みを見せた。


草薙「戦う前に「貴様の特殊能力エボリティ神経伝達物質エムピミンが使えなくなるなら、始めから使い切ったらいい」とは言ったが、使い切ったとは言ってないぞ〜っ!」


そう言うと草薙は自分の足元を指差してクイッと上に上げた。自分自身の影を起こしたのである。


月見「{ミスリードを誘ったのか、結構キツイな}」


草薙「貴様が俺の靴を舐めてYour majesty忠誠ちゅうせいを誓うといったら許してやってもいい!!」


月見「{奪還だっかんを使えるのは恐らくあと1回のみ}」


草薙と影は月見つきみの足元を指差した。そして指をクイッと上にあげ、月見つきみの影を起こしたのである。


草薙「絶望的だな!そのまま虫ケラのようにくたばれっ!」


草薙と影達は一斉いっせいに月見を攻撃した。


月見も必死抵抗する。しかし神経伝達物質エムピミン残量ざんりょうが少なくなっている月見の反撃はむなしく、草薙と影達の攻撃に倒された。


草薙「お前は極刑きょっけいあたいする、まだまだこの程度じゃ済まさんっ!」


草薙が月見に近づくとある異変に気づきた。倒れている月見つきみから蒸気が発生していたのだ。


草薙「なんだこれは?」


草薙がそうつぶやくと、立ち上がりながらこう言った。


月見「てっ、撤回てっかいしよう…お前は強い…」


草薙「今さら命乞いのちごいか?見苦しいぞっ!」


月見は立ち上がると、そして草薙の目を見てこう言った。


月見「だか…、俺の方が強いっ!」


すると、突然影2体は消えた。


草薙くさなぎ「なっ、何が起きた!?」


草薙くさなぎがパニックになるのも無理はない。月見は草薙、草薙の影、そして自分自身の影に猛攻もうこうされた衝撃しょうげきにより、蛹化覚醒を起こしたのである。


月見は他人の第6感を使用不能にするだけでなく、自由に操れるようになっていた。

その為、草薙の特殊能力エボリティを操り、影を消滅させたのである。


月見「特殊能力エボリティには蛹化覚醒というワンランク上の領域がある。もうお前に勝ち目はない」


そういうと月見つきみは立ち去った。


草薙「くそぉぉおおーーーっ!」


草薙の声は河川敷中に響き渡った。


草薙くさなぎ五十音いそね人生2度目の敗北である。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る