第11話「覚醒」

引き続き、歴代最強のインクベーティスト、松方志鳳の中学時代の回想シーンをご覧下さい。本編は次話から再開しますm(__)m


◆◆◆


数日後 開能高校グラウンド


志鳳と北別府が向かい合って立っており、その周りをギャラリーが囲っている。


いつもよりギャラリーが多かった。

他学年から授業を抜け出してきた者や、先生達までもその戦いを一目ひとめ見ようと集まった。


生徒A「見ろよあれ、まるでゴリラ対小学生だぜ《笑》」


生徒B「まあ今回の見どころは志鳳君がどのくらい健闘するかだな!」


志鳳は北別府の並じゃないオーラを感じた。


北別府「よろしく頼む」


志鳳「こちらこそよろしくお願いします」

志鳳は頭を下げた。


先生「両者前へ、用意、始め!」


始めの合図と同時に志鳳が間合いを詰め、北別府に渾身のボディブローを打つ!!……が、北別府の鋼鉄の腹筋によって志鳳の拳の方がダメージを受けた。


志鳳はすかさず飛び上がり北別府の顔面を蹴るが軽くカードされた。


ガードを解いた北別府は全力の右ストレートを放った。


北別府「おるぅぅぅらあぁーっ!!」


志鳳はガードしたものの、大きな鈍い音と共に10m程飛ばされた。


志鳳「{格が違う。まるで、タンクローリーに跳ねられたような衝撃だ…}」


志鳳は軽いパニック状態になった。


先生「ギブするー?」

先生が声を上げた。


志鳳「いえ、まだですっ!」

志鳳もそれに応えるよう声を上げた。


北別府「天才君もそんなものかな?」


北別府はそういうと志鳳の方へ歩いた。


◆◆◆


回想シーン


北別府きたべっぷ徳文 《のりふみ》12歳


北別府は普通の中学1年生だった。


自分がインクベーティストだなんて到底信じられない程の凡庸ぼんような体と知能だった。


北別府「{自分は何かの間違いで開能に入ったんだ、自分が頑張った所で何も変わらない}」


当時の北別府は頻繁にそう思っていた。


そんな北別府を変えたのは当時天才と言われていた、仁田にった岩瀬いわせ深津ふかつの存在だった。


北別府は3人の才能に驚いたのではなく、彼らの並みじゃない「努力」している姿だった。


衝撃を受けた北別府はその日から豹変ひょうへんしたように「努力」をしまなかった。


強くなる為に空手、柔道、総合格闘技、合気道など多くの門をくぐり、毎日のハードなウエイトトレーニングもおこたらなかった。


北別府「{あいつら《仁田、岩田、深津》が8時間トレーニングしたら、俺は16時間だ!!あいつらが16時間やったらトレーニングメニューを圧縮して、32時間分とトレーニングだっ!!}」


北別府の特殊能力エボリティは「努力」。誰よりもストイックに努力できる能力であった。


それから3年、北別府は中学を卒業する頃、この学校の誰よりも強くなっていた。


そして今では黄金世代のBIG4であり、歴代最強の男として開能高校に君臨する。


回想シーン終了


◆◆◆


志鳳に北別府が向かってくる。


志鳳「{何か策があるはず、ヒットアンドアウェーだ}」


志鳳は北別府にコンビネーションを決め、引きがった。


志鳳「{硬な、もう一度}」


志鳳がフェイントから蹴りを顔面に繰り出した瞬間、北別府は志鳳の足首を掴み、握りしめた。


志鳳「{やべっ、折れるかもっ…}」


北別府は志鳳の足を掴み上げ、志鳳の体を一気に地面に叩きつけた。


志鳳は叩きつけられる瞬間、周りがスローモーションに見え、今までの人生の走馬灯が頭をよぎった。


「ドゴーーン」


大きな鈍い音がグラウンド中に響きわる。


深津「終わりだね」


仁田「北別府相手によく健闘したよ、志鳳あいつ


ギャラリー達の誰しもが試合の終了を確信した。


北別府「もう無理だろ…先生!終わりの合図を」 

北別府が先生に試合終了を催促した。 


先生が志鳳の様子を見にいく。


すると志鳳から湯気が立っていた。


先生「湯気!?もしかしてこれはっ!!」


精神や肉体に強いダメージを受けると、ごく稀にエムピミンが化学反応を起こして沸騰し、体から蒸気が発生する。

特殊能力エボリティ蛹化覚醒である。


通常時では使えないような特殊能力エボリティが使える。


志鳳「か、体から、凄い…力が湧いてくるようだ…」


志鳳は北別府の方向に歩いて行く。


先生「もう無理だろ、やめときなさい」

志鳳は制止に入った先生をまるでぬいぐるみのように投げ飛ばした。


北別府「テメェ、自分のやってる事がわかってるのか?」


怒りを露わにした北別府が志鳳に詰め寄る。


そこからというもの、志鳳と北別府の激しい打ち合いが始まった。

鈍い音の連打がグラウンドに響き渡る。しかし埋められない筋量の差でみるみる志鳳が押されて行く。


北別府「これで終わりだーーっ!!」


北別府は渾身の一撃フィニッシュブローを放つが交わされた。


志鳳「僕の勝ちです」


志鳳の手から光が発生する。


志鳳「無に帰れ、森羅万象の如く!グラウンド・ゼロ!」


眩しい光が周囲に広まり、ものすごい熱風が北別府とギャラリーを襲う。


「ドッガーーーーン」


志鳳の特殊能力エボリティは「核力」。

核の力は常人離じょうじんばなれした力を生み出していた。

また蛹化覚醒する事により、てのひらで核爆発を起こせるようになっていた。


爆発後、学校には多くの救急車が駆けつけた。


負傷者は多数発生したが死者はでなかった。


北別府も己の屈強な肉体により、辛うじて生き延びる事ができた。



◆◆◆


その後、志鳳の能力コントロールを危険視した国が志鳳の暗殺を企てるが失敗に終わる。


自身の身を国から守るため、志鳳は13歳で西村組の門をくぐった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る