第20話

 ToTで行われる戦闘の形式はCoCのそれをおおむねとうしゅうしている。

《敏捷》で行動順を決め。

 すばやい順に行動を宣言し。

 攻撃、回避、装甲などから導かれるダメージによって雌雄を決するか、逃げるための隙を作るかを決める。

 ざっくり語ると、だいたいこんな具合だね。

「行動順ですが、狼がまず最初で、次に捕逸とナコちゃんが横並び、最後に以須野先生となりまーす」

「せ、戦闘って、なにをすればいいんですか……?」

「キャラシの裏に戦闘技能ってあるだろう?」

「えっとぉ……はい、あります」

「戦闘中でもほかの技能――たとえば《目星》とかは使えるけど、主に使うのはこっちのほうになるんだ」

 僕はおくびょうかぜに吹かれる囁ちゃんに必要な情報を説いていく。

「それで流れとしては、まず行動順に沿ってひとり1回ずつ行動を宣言する。それがすんだらラウンドがひとつ進む。あとは戦闘を終わらせるまでこの一連の処理を反復するのさ」

「《こぶし》に《キック》……つまり、攻撃するときはこれらを宣言するということ、ですか……?」

「そうそう、そんな感じ」

「ではこのぉ……まーしゃるあーつ? というのは……?」

「ハハ、今は見なかったことにしていいよ」

 ナコちゃんの能力値じゃほぼ確実に失敗しちゃうからね。

 ToTにおいて《筋力》カンストの捕逸くんでようやく現実的な成功確率になるロマン技能、それが《マーシャルアーツ》だ。

「では狼の行動からいきますねー」

 知子ちゃんはキーパースクリーンで隠しながらダイスを振る。シークレットダイスで攻撃対象などをランダムに決めているのだ。

「はい、狼はナコちゃんを見すえるやいなや、鋭い牙で飛びかかります! ほかの教室と同じく机はすべてロッカー側に山積みなので、障害物はありません。ナコちゃんまでは一直線でしょうねー」

『わっ……! な、ナコは《回避》するの!』

「つーちゃんタンマ! 《回避》は狼が命中判定に成功してから使うのよ」

「ダメージは『1D3+1』だっけか」

「ナコの《HP》、4しかないのですが……」

 小柄な小学生が即死しかねない、牙による攻撃か。

 心臓か肺あたりに穴が開けば充分ありえそうでちょっと怖いなあ。

「噛みつきの命中判定いきますよー。そぉい!」

 知子ちゃんの手からダイスがふたつ、勢いよく転げ落ちる。しかし悲しいかな。彼女の気合いがこもったダイスロールは空転するどころか、それ以上に悲惨な展開をもたらした。

 とどのつまり、6のゾロ目。ファンブルだ!

「ぎえーっ!? どうして先輩の目がっ!?」

 人の許可なく代名詞にするんじゃない。

「あのぉ、この場合はどうすれば……」

「とりあえずナコちゃんの反応でも考えようか。言っておいたほうが知子ちゃんも描写しやすいだろうしね」

『で、ではナコは狼にびっくりして、しりもちをつくと思います……』

 なんとわかりやすい。聞いただけで目に浮かぶような宣言だ。

「しょうがないにゃあ……」知子ちゃんは苦い顔をする。「ナコちゃんのしりもちがあまりに奇跡的なタイミングだったのでしょう。前足でうんと床を蹴った狼ですが、あろうことか彼女の頭上を思いきり飛び越えてしまい、ロッカーの中に頭から突っ込んでいきましたとさ」

(すっごい痛そう)

『……危なかったの』

「えーファンブルというわけで、次のラウンド終了まで狼は行動不能でーす」

『じゃあ次は俺たちの番だな』

 捕逸くんとナコちゃんはともに《敏捷・4》。両者がいち早く動きたいとなればダイスで雌雄を決する必要があるけど、幸い今回のセッションに独断専行なPCはひとりもいない。一言二言の話し合いですませられそうだ。

『ナコ、大丈夫か?』

『後ろに転んだだけなので、けがはありません』

『ナコはまず体勢を立て直せ。ここは俺が先に動く』

『わかりました』

(よしよし、想定どおりだ)

 知子ちゃんがファンブルしたおかげでしばらくの間、狼の対処は後回しにできる。

 だったらやることはただひとつ。狼なんていう立派な猛獣を使役している以須野先生を沈黙させるのみだ。

「あっ、忘れないうちに以須野先生の描写しときますね。先生はおふたりから5メートルほどの位置に立っていて、左手をあざに添え、右手にバチバチと電気を発する手のひらサイズの機械を携えてまーす」

(スタンガンで武装とはまた厄介な)

 当たれば対象を1D3ラウンド行動不能にする。

 ダメージこそないものの、ふたり相手なら完封可能な点こそがスタンガンの強みにほかならない。つまりふたりで挑むシナリオの敵に持たせた場合、戦闘難易度を乱しかねないバランスブレイカーと化すってわけだ。

 まあ、体育倉庫での描写的に、拉致監禁サタニズム野郎の先生が持っててもおかしくはないんだけどさ。どうせ持たせるなら参加者の多いセッションにしてほしかったよ。

「キーパー、捕逸くんは以須野先生に《キック》で攻撃するよ。フェンスに飛んできた打球をキャッチするときみたいに、壁を蹴って高くジャンプしてからの跳び蹴りだ」

「当たればとてもかっこいいですねー。判定どうぞっ」

《キック》は『筋力+敏捷』だから目標値は『10』。まさに戦闘向き探索者って感じの高確率だ。

 しかし現実は非情だった。僕がおもむろに、余裕を持って振った2D6の合計は『11』。ファンブルこそ免れたものの、恵まれた能力値から繰り出された《キック》は無残にも失敗してしまったのである。

「うーん、残念でしたねー」

「ああまったく」

 知子ちゃんのファンブルしかり、なんだかダイスが穏やかじゃなくなってきている。こんな状況をことわざでなんて言ったっけな。

 ……はあ、だめだ、ショックで頭が鈍ってきてる。いったんロールプレイを挟んでクールダウンしないと。

『て、手前勝手が理由で、こんなことするんじゃねえっ!』

『――ナコの代弁者たらんと捕逸は叫び、やくする。気迫に非の打ちどころはない。あるとすれば、ライダーキックと呼ぶにふさわしき離れ業スタントの練度であろうか』

 幸の薄さなら「善因善果」「おとなしく徳を積め」で片付けられるけど、技術や慣れとなると生きてきた時間がものを言う。小学生に求めるのはこくってやつさ。

『――あまりに荒削りなアクションゆえ、目に見えて隙が大きく、常から体を動かさない《ゲーム倶楽部》の顧問でさえ避けるにかたくない。捕逸による入魂の跳び蹴りであったが、以須野の身動きひとつで空をうがつ結果に終わった』

『くそっ……』

 僕は決まり悪そうに知子ちゃんから顔を背けた。

「今度はナコちゃんの番ですよー。さあ、どーする?」

「どうするって、言われてもぉ……」

「まあ殴る蹴るで戦うって感じのキャラじゃないもんね」

 ToTは戦闘面においてもイージーに調整されていて、基本的な攻撃手段である《こぶし》の技能値にしても『筋力+4』で最低『5』は保証されている。だから非力なナコちゃんでも戦おうと思えば戦えるんだけど、かえってロールプレイとの兼ね合いが取りにくいかもしれないな。

「一応、キーパーさえ許可すれば技能にとらわれない行動もできるよ。《敏捷》で敵の間をかいくぐって逃げたり、アイテムを受け渡したり……」

《言いくるめ》でキーパーを丸め込んだりとかね。

「アイテム……懐中電灯で先生の目をくらませる、とか……?」

「そんな感じだね」

「うんうん、使えるものはなんでも使わないとっ。ねー先輩?」

 知子ちゃんの視線が囁ちゃんからそれる。

 彼女の言い分もとい透き通るような利己心がまるきり悪だなんて思わない。ただ、そんな蠱惑的な目で市長の息子ぼくにすり寄るのだけは勘弁願いたいところだ。

『ではナコはなるべく近づいてから、懐中電灯の光を以須野先生の顔に向けます』

「それなら行動の成否は対抗ロールで決めたいと思いまーす」

「対抗ロール?」

「自分と相手の能力値あるいは技能値を比べた上で目標値を決定する判定方法さ」

 かみ砕いて説明すると、力比べや知恵比べなどに際して両者の《筋力》や《知性》あたりを比べ、高いほうの判定者が優位に立てる判定を指す。人に限らず物体とのやりとりにも対抗ロールが用いられるケースも珍しくはない。たとえば重たいものを動かすとかね。

「キーパー、今回はなにを使って対抗するんだい?」

「アタシ的には奇襲みたいにすばやさが重要だと思うので、《敏捷》対抗ロールが妥当かなーと」

「じゃあ以須野先生の《敏捷》は?」

「3ですね」

 つまり《敏捷・4》のナコちゃんが有利だね。ああいや、僅差だからそこまででもないか。

「計算式は『能動側の数値-受動側の数値+5』で、4-3が1だから……目標値は『6』ですっ!」

(キーパーの暗算が遅い)

「ダイスを振ります。ナコのひらめきがうまくいきますように……」

 囁ちゃんが神妙に《敏捷》対抗ロールへと臨む。己が探索者を慈しんでやまない彼女の熱情にかかると、かの運命の女神ノルニルさえ戯れを忘れてしまうらしい。奇しくもダブった『2』の黒点を目の当たりにして、僕はつくづくそう感じさせられた。

『うっ、まぶしい……!?』

「やりました!」

(でかした囁ちゃん!)

『――捕逸の蹴りから間髪入れず、あやまたず。ナコの手によって差し込んだ斜光が以須野の目をくらませる。おぼつかない足取りで以須野が後ずさる光景から、しばらくは視力に頼った行動に支障をきたすであろうことを、ナコはただちに直感したはずだ』

「もしかして命中判定にマイナス?」

「そうですねー、では次のラウンド終了まで以須野先生の命中および回避判定を2分の1としまーす」

 アドリブにしてはずいぶんプレイヤー側に優しい処理をしてくれるなあ。桜花と違って。

 とはいえ、能力値から見た捕逸くんとナコちゃんの戦力なんてふたり分には及ばない。この温情はたぶん、そうした実情を重く見てくれたからこそなんだろう。

『……やってくれたね、木暮。先生を憚るとどうなるか、身をもって学ぶ機会を与えてあげるよ』

「攻撃対象って基本的にランダムじゃなかった?」

の怒りは今、沸点を超越したんだっ!」

 知子ちゃんはノンプレイヤーキャラクターNPCの気分に浸るかのように、わけもなく常軌を逸してみせる。

 ああ、ついに始まってしまったんだ。

 語り手キーパーだけでは飽き足らない、劇場の擬人化による暴走が。

「行動はスタンガン、判定は《こぶし》と同じ『筋力+4』。さあ、ダイスロールだ!」

 そう言って知子ちゃんはキーパースクリーンを片手でなぎ倒し、一瞬で開けた机に颯爽とダイスを投じた。

 キーパーとしての遊びは終わりだ――そんな表明にすら見える暴挙が囁ちゃんを唖然とさせたのは言うまでもない。これほどの様変わり、セッションか劇中ぐらいでしかやらないからね。

「ダイスは1と2、達成値は『3』! 目標値がマイナス修正含めて『3』だからスタンガンは命中した!」

 そうこうしているうちに、知子ちゃんは渾身のダイス判定をすぱっとクリアしていた。

「続けて1D3! ――木暮! 今からお前は2ラウンドの睡眠学習だ! まどろみの中で狼に食われぬよう、祈りながら学ぶといい!」

「そ、そんなぁ……!?」

『ナコ!? くっそぉ……!』

 運良く狼を無力化できただけでなく、以須野先生の弱体化にまで成功したはずなのに、たった数分でこちらの優勢だった盤面を覆される。いくら劇的な展開が好みだからって敵方の逆転劇なんか僕はちっとも望んじゃいない。

 だというのに、まさか、こんなことになるだなんて。

(どうする? どうすれば切り抜けられる?)

 ナコちゃんの行動不能により、次のラウンドで動けるのは捕逸くんと以須野先生のみ。その次のラウンドになれば狼が動き出す。一方でナコちゃんは2ラウンドにわたって無防備であり、《回避》など到底かなわない。

 そのまた次のラウンド。ここからナコちゃんが復帰するけど、この時点でもう僕たちのPCにおそらく勝ち目はない。捕逸くんが敵の集中砲火に耐えきれず、床をなめている頃合いだろうからね。

 ゆえにこそ断言しよう。

 捕逸くんとナコちゃんが九死に一生を得られるか否かは、すべて次の行動にかかっているのだと。

「第2ラウンドだ露木。また《キック》でもするか」知子ちゃんの目が囁ちゃんへ向く。「もしくは、麻痺して動けない木暮を生け贄にささげ、おめおめ逃げ出すのも手だろう」

『そりゃないぜ先生。俺はもう覚悟を決めちまったんだからな』

「ならば答えろ。お前はなにを望んでいる?」

 なまじ状況がシンプルなせいでつけ入る隙が見当たらず、十八番のリアル《言いくるめ》は役立ちそうもない。にもかかわらず反撃に使える手数は多くて2回、スタンガンをよけられない可能性を考慮するとたったの1回きりというありさまである。

 おずおず動いたところで敗勢を覆すなど不可能に等しい。となれば捕逸くんが狙うべきはホームラン級の大打撃。ハイリスクハイリターンな決め手をおいてほかにないだろう。

 つまるところ、虎穴に入らずんば虎児を得ずってわけさ。

『……ノックアウトだ。俺は《マーシャルアーツ》の《キック》によるノックアウト攻撃を宣言する!』

「《マーシャルアーツ》を絡めたノックアウト、だと……!?」

 知子ちゃんの表情に焦りの色がにじみ出る。

「な、なんですかそれ……?」

「悪いね桑原ちゃん、説明はダイスを振りながらだ!」

 僕はキャラシに乗ったままのダイスをふたつ、握り込む。相変わらずの硬さだ。こうしていると、つい決まりきった運命に触れているような気にさせられる。

 でも悪い気分じゃない。このダイスがハッピーエンドをもたらしてくれると思えば、むしろいとおしいぐらいさ。

「まずは目標値『10』の《キック》と目標値『6』の《マーシャルアーツ》の判定を同時に行う。どちらも成功となる『6』以下の達成値を出せば《キック》によるダメージは2倍となる!」

「《キック》のダメージが『1D3+1』だから……最大8ダメージか!?」

「ナコぐらいなら、簡単に倒せますね……」

「いくよキーパー、まずは1投目!」

 賽は投げられた。悲劇に慣れっこな僕はともかく、これが初めてのセッションとなる囁ちゃんにしてみれば、出目がどう転ぶか気が気でないだろう。

 さあ勝利の女神ウィクトーリアよ、なにをしてるんだい? もし彼女が涙を呑む未来を痛ましく思うのなら、今まさに机を鳴らそうとするダイスで神たる片鱗を示してみなよ。示してください。

「ダイスは……2と、3ですっ!」

「よし、判定はいずれも成功だ」

 僕は立て続けにダメージを算出する2投目のダイスを振る。1D3の結果は『2』、1を足せば『3』。この値を《マーシャルアーツ》で2倍にした『6』が今回の《キック》で与えられるダメージというわけだ。

(やあ女神様、上出来だよ)

 いい目に恵まれた僕を前にして、負けじと知子ちゃんも「ならば僕は!」と前のめりになる。

「このラウンドでの攻撃を放棄する! よって《回避》ロールの権利が得られる!」

「おっと、ナコちゃんのおかげで目標値は2分の1になっているんだ。くれぐれも忘れないでね?」

「そんなもの……あ、うわっ!? あと1低ければ!」

 知子ちゃんは僕より小さな握りこぶしを机にたたきつける。『4』の達成値を出したダイスがそのはずみを打って、彼女の手もとからかっから離れていった。

 さて、《回避》失敗により捕逸くんは以須野先生に『6』のダメージを与える権利を得た。これだけでも勝利を予覚するには充分だといえよう。

 しかしながら、勝利を獲得するにはこのダメージですら不充分と言わざるを得ない。先生の《HP》が『7』以上だと――《HP》を一度に半分失った際の気絶ショックロール次第で勝てなくもないけど――倒しきれずに2対1へ持ち込まれてしまう恐れがあるからだ。

 敗北の可能性が音もなく忍び寄っている。今日のダイス運からそう感じずにはいられない。

 だからこそ僕はあらかじめノックアウト攻撃を宣言しておいた。これに成功すれば、与えられるダメージこそ3分の1になるが、人間相手なら《HP》がいくら残っていようと必ず気絶させられるからだ。

 そう、必ずだ。

「キーパー、以須野先生の《体力》、その数値を教えてもらうよ」

「……2だ」

 ノックアウトの成否は、与えるダメージと相手の『体力×2』の対抗ロールで決定する。

 つまり『6-4+5』イコール『7』。これが捕逸くんとナコちゃんの運命を左右する目標値というわけだ。

『小細工はなしだ。以須野の土手っ腹にまっすぐ、がっつりと蹴りを入れる』

「冗談じゃない……やめろ、来るなっ!」

『3投目! 俺たちの怒り、身をもって教えてやらぁ!』

 ほのかに赤く火照った僕の右手から白い6面体が宙へと舞い、小さくはね、放物線を描き、やがて静まりかえる。初心者をだしにして呼び込んだ女神の恩恵は、なおも健在だったらしい。

 ふたつのダイスが上向かせたのは――『3』と『2』だった。

「ぐおぉ!? …………つ、ゆきぃ……!」

 いかにも《キック》が直撃したみたいに知子ちゃんは顔をゆがませる。

『俺たち、ずっと待ってたんだ。《ゲーム倶楽部》の再開をさ』

 僕は勝利と終局を悟り、ふつふつ込み上げてきた疲労感に飲まれまいと言葉を継ぐ。

 けして僕でなく、けれど誰よりも僕に近しいであろう人物の心を。

『――顧問のくせに、サボるんじゃねえよ』

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