第4話

本はそこそこ好きだし、趣味にしてしまおうか。


ある程度の知識が増えたら文系の部活にでも入ってみよう。



図書館に向かって歩いていた時、図書館横のベンチの近くに落ちているものを偶然発見した。



「なんだろう…」


拾い上げてみると指輪で、内側に彫られている「MIO h ⓢ」にすぐ気付いた。



からだにとてつもない緊張が走った。



「…みおって上村さんのかな」


届けなきゃ、でも違っていたら?怪しまれる?盗んだと思われる?嫌われる?プロポーズと勘違いされる?



頭の中を考えが巡りすぎていた。

いつの間にか俺は教室前に戻っていた。




「…白羽君?」

「え…」


驚いた。上村さんのクラスにバレーボールの部活着を着た上村さんが1人で立っていたこと、俺の名前を呼んだこと。



「知ってる…の?」

「あ、最初の方よく図書館に行っていたでしょ?それで…。いきなりびっくりだよね!ごめん、初めまして上村美緒です」

「…知ってた…のか」



赤面している実感があった。

顔を隠そうとした時、指輪を落とした。


コン、という音。


すると彼女は笑いながら

「そんなびっくり?何か可愛いね、落としたよ〜」

といって拾った指輪を俺に渡した。


「あ、ありがとう…」


「かっこいい指輪だね〜、じゃあ部活行くね!またね」



彼女の物ではなかったのか、それより初めて話した、俺のことを知っていた…。



可愛いと言われた…かっこいいと言われた…

今度は幸せな回想が頭の中を巡っていた。

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