第2話
少しレベルの高い、落ち着いた感じの自然豊かな学校でも目立ちたがり屋っているんだな。
それは関係ないか。
「美緒は昨日のドラマ観たー?」
「あはは、昨日寝ちゃってた!」
「えー!めっちゃいい回だったのに!」...
教室の外から聞こえた声はすぐに誰のかわかった。上村美緒(うえむらみお)さん、1年の頃から俺の好きな人。
今年も同じクラスにはなれなかったが、耳かけのショートカットが似合う笑顔が可愛い子。見た目も優しい、中身も優しいと評判。
付き合ったら絶対幸せになれる、まだ話したことないけど。
通り過ぎたと思い窓に目を向けると、工東椎那(くどうしいな)が歩いていた。おそらく図書館に向かって歩いている。
なぜわかるかと言うと、俺の関わった人の中で唯一、図書館目当てで入学してきたからだ。
───「本、好きなの?」
俺は入学からしばらく図書館に通っていた。
正直、誰が1年なのかわからなかったし声をかける勇気がなかった。
だけど、1年の教室前の廊下で彼女は見たことがあった。
短めのポニーテールに落ち着いた雰囲気、いつも図書館で1人本を読んでいた。
話しかけやすいと思った自分がいたのだろうか。緊張していたが、向こうは緊張感なく
「うん、この作者が特に好き」
と返してくれた。
「あ…知ってる、1冊だけ。映画化した有名なやつ」
「あれこの図書館に2冊も置いてあるの、推してるのかな」
「まじか、俺ももう1回読んでみようかな」
「違うの読んでみてほしいな、オススメがあるの」...
こんな感じで関係を持ち、それから話しかけてくれるのがとても嬉しかった。
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