青春ライブラリー
UMI
第1話
2つの輪が少しずれたような形の、シルバーの軽い指輪。内側には「MIO h ⓢ」と不恰好に彫られている。
これを見つけてから俺の人生は変わった。
───高校2年、春
俺、白羽雄祐(しらはゆうすけ)はもったいない1年がまた始まると思っていた。
図書室ではなく図書館が、校舎から少し離れたところに1つの建物としてある。
この建物が俺の入学の志望理由だ。
本を読むのが好き、だから選んだんだ。
…とは言っているけど本当は違う。
学校説明会でこの学校に来て、学校図書館を見た時に同じような楽しい仲間に出会える、気の合う彼女が出来る、そんな気がした。
この大きな図書館で一緒に勉強したり、デートしたり、青春の学校生活を想像した。
恋愛は苦手なくせに、期待と希望を持って入学した。
…やっぱり甘かった!
男の友達は何人かいる、けど自分から話せる女子は全然いない!
このまま俺は平凡な学校生活を終えて、呆気なく卒業するのだろうか?
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