第11話 誕生日パーティー ①
「エステル様、馬車はすでに準備しました」
「わかったよ!ワァイス!どうしてもポニテはダメなの?」
「はい。貴族の自覚を持ってください」
今日はルシャリーさんの誕生日パーティー。クオーレ公爵家は聖王国随一の貴族である。さらに、現任当主シルバー・エクスト・クオーレ様は騎士団長に勤めている。故に、今日のパーティーに、この国にいる貴族と騎士団の関係者がたくさん出席する。もちろん、辺境伯家の仮身分を冠する私も参加します。
でもよ、ルシャリーさんの言葉遣い、本当に大丈夫なの? 単なる一週間での練習は、本当にお嬢様言葉を身に着けるの? あぁぁ…
鏡に向かって、髪がワァイスによりストレートヘアになった。この浅い黄色いドレスと一緒なら、ストレートヘアの方が似合うかもしれない。そして、私の胸はいつからせいちょうするの!? ルシャリーさんを羨ましいな…
…………
クオーレ公爵邸に着る。入り口はすでに使用人たちが迎えっている。
「ワァイス、シッヴァルツ。あなたたちは使用人の控室で休憩してもいいよ。ここは公爵家の使用人たちに任せでいいよ」
「かしこまりました。エステルさま、ごゆっくりと楽しんでくださいませ」
『あとは任せてください! ミリア様!』
実は、馬車から降りる際に、すぐ異常な魔力を感じだ。先日の魔族とほぼ同じだった。つまり、魔族はすでに来客の中に混入している。一人や二人の魔族は私に敵わない。仲間がいると前提に考えると、ワァイスとシッヴァルツが屋敷周囲の警戒任務を任す。
招待状を渡す。屋敷に入る。廊下の壁にはいくつもの絵画が飾られている。ある絵の前に、足を止める。
これは、六英雄の絵だ! 若い時のおじいさまがカッコイイよね! シャローナ先生とフェロードさんはほとんど変わらない。エルフとドワーフの寿命が長いものよね。この赤い髪の女騎士はおばあさま!? お母様とそっくり!
絵を見る時、誰かが腕を繋ぐ。もうビックリしないよ! ルーナでしょう?
振り返って後ろに見る。やはりルーナだ。そして、また他の四人がいる。
二人の女性はルーナより少し年長のように、お姉さんだよね!そして、中年の夫婦が男爵と男爵夫人よね。でもよ、彼らの顔に、緊張? イア、畏れる顔だ!
「ルーナ! こんな失礼なことをやめなさい?」
男爵がルーナを叱る。なるほど、私の服飾から見て、多かれ少なかれ身分を気付くことができる。男爵令嬢が伯爵令嬢に失礼なことをするなんて、畏れることは当たり前よね。まぁ、私は大丈夫だけど。でも、辺境伯家の面目を潰すことはダメ。
「ルーナ。こちらの方はご家族ですか?」
「そうよ!お父様とお母様、そしてお姉様よ」
ルーナの言葉遣いはもうダメよ。使わなくてもいい場合なら絶対使わないタイプだ。
男爵夫婦に向かって、お辞儀をする。
「お始めにお目にかかります。エステル・フォン・マーレでございます。よろしくお願いいたします」
「申し訳ございません。マーレ家のお嬢様にこんな無礼なことをしました。お許しください!」
あれ? 男爵夫婦がなぜおお詫びなの? あぁ! 確かに、この国では、辺境伯は侯爵と同レベルの上位貴族だった。普通に考えると、男爵令嬢が辺境伯令嬢に無礼なことをするなら、罪が軽くないよね。
「男爵様。安心してください。ルーナ嬢はわたくしの友達だもの、怒っていませんよ!」
説明した上、男爵一家はやっと安心した。この事件の張本人について、また私の腕を繋いている。彼女によると、ずっと私は同じ位の令嬢と思う。せいぜい子爵令嬢ぐらい。あぁぁ… 彼女に仕方ではないよね。
「エステル!このネックレスが似合う?」
それは先日、魔族を殺す時、ドロップしたネックレスだ。効果が確認した。装備者の闇属性を3倍に上がる。その代償は魔力を常に消耗する。もちろん、聖属性魔法で浄化した。その呪いみたいな代償はもういらない。でもよ、エメラルドを鏤めているネックレスが、浅いオレンジ色のドレスを着る彼女にとても似合うと思うよ!
「とても似合いますよ!今日のルーナはとっても綺麗よ!」
彼女の頬が真っ赤になる。このようなルーナが初めて見た。正直に言って、照れている彼女は、本当に可愛いよね!
「エステスの方か綺麗よ!」
「そうなの?ありがとう!ルーナ」
会場に入り、さすが国随一の公爵家、壁際に沿って並べられている台の上に、様々な装飾品が置かれている。金色の糸で作ったカーペット。
会場はすでに大勢の貴族が集まっている。私たちが入ったら、すぐたくさんの貴族子弟に挨拶された。正直に言うと、この社交界の建前は、本当に気がないよ! 今気にするのは、早くここに潜入した魔族のこと。人が混雑しているもの、見つけるのは難し過ぎよ!
「今日は娘ルシャリーの誕生日だ! まず、今日のご来賓の皆さんに感謝の気持ちを伝える」
私たちが貴族子弟たちに囲まれる時、男性の声がする。ある貴族服飾を着る中年男性が二階から階段で降りている。この人はルシャリーさんのお父さんよね。ルシャリーさんが後ろに従っている。可愛いレースが附いているサファイアみたいな青色のドレスを着る。耳にピカピカな銀色なイヤリングを付けている。彼女は本当にあのルシャリーさんなの?全く別人みたいよ!
「ほら、ルシャリー!君は今日の主役よ!皆さんと挨拶をしてくれ」
彼女が前に歩み、その動き方、どう見えても立派なご令嬢だよ! うむ! 彼女も結構頑張ったよね。残るのはお嬢様言葉で挨拶だけよ。頑張ってよ!
「皆様。こんばんわ!わたくしはルシャリー・グローリア・クオーレでございます。本日はわたくしの誕生日パーティーへご参加いただき。ありがとうございます!」
ようし! 完璧よ! でも、ちょっと硬いかね。うわ! そのこわばった表情! やはり緊張するよね! でも、大丈夫よ! 今日の振る舞いと言葉遣い、全部完璧よ! 教えた甲斐があったよ!
「では、皆さん!杯を上げてください!カンパイ!」
「カンパイ!」
宴会が始まり、踊りの音楽が響いている。こういう場合に、男女二人でダンスをする。しかし、私とルーナも踊りの相手がいないよ。側に見てもいいよ。
「では、ルシャリー! 最初の相手は決まるか? ないなら、父さんもできるぞ!」
アハハ!ルシャリーさんの言葉遣いがこれほどまずい張本人、やはり公爵様よね。あなたの言葉遣いも公爵らしいくないよ! でもよ、貴族に男性の言葉遣いができるかどうかは大したことではない。女性の場合なら、かなり重要なことだよ! なんか、不公平だよね!!
「お父様。ダンスの相手、最初から既に決まりますよ!」
「なに!!? 何処の馬の骨だ!! オレの可愛い娘を騙したのか!!?」
おお~ ルシャリーさんは相手がいるか? そして、公爵様がこれほどに怒るのか? まぁ、一人娘だよね。 でもよ、相手はどこの貴族子弟かな? ちょっと気にしているね。
そう考え時。ルシャリーさんがこっちに向かって来る。私の前に、手を伸ばす。
「最初の曲、一緒に踊っていただけますか?」
へいいいいいい!!!
前世の記憶がなくても わたくしも立派な転生者 E・S・O @ml02109780
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