第2話 入学試験 ②
「ルーナさん!ちょっと…!手が…!」
会ったばかりルーナという女の子から腕に引っ張られて走った。
「ふうう~ 間にあったよ!」
「あの… ルーナさん。ちょっと手を放してもいいかしら?」
「あわわわ!ごめんなさい!私、また…」
彼女は両手で頭を抱え、顎が震える。自分の失態を反省するそうだ。私は乱れる服と髪を整える。
「いや… 大丈夫ですよ。わたくしは責めるつもりはありませんよ。でも、次からは気をつけてくださいね」
彼女の青白い顔色はすぐ鮮やかな色に変わる。先のような活発な笑顔に戻る。
(君!本当に反省するの!!?まぁ、活発なタイプは嫌いではないけど…)
「早く会場を確認しましょう!エステルさん」
「あぁ、そうですよね…」
掲示板に受験番号と会場を載っている。ええと、A-E-175は… あった!第二エリアのA301だ。
「エステルさんはどこですか?」
「ええと、わたくしは第二エリアのA301ですよ」
「本当!私も!じゃ、一緒に行きましょう!」
うわ、彼女のわくわくする顔、何を楽しんでいるの!?
「試験開始まで、あと10分です!」
後ろからまた声が聞こえ出来た。
「エステル!早く行かないと…!」
ルーナはまた私の腕を握る。まさか!また!こいつは本当に反省しなかったよね!!させるものか!!
「ルーナさん?」
「なに?エステル!」
「今回はわたくしに任せて!『身体強化』!!」
全速で第二エリアへ走った。
あっという間に第二エリアの教室棟に着いた。「身体強化」の効果は前より上がったね。
「ルーナさん。着きましたよ。…!大丈夫なの?!」
彼女の目がもうマワマワになった。やりすぎだよ!!!
「ごめんなさい。わたくし、やりすぎました!ルーナさん大丈夫かしら!?」
彼女は手で服に叩く、髪を整える。目がピカピカにする。
「エステル!先は何!?面白い!もう一度やりましょう!!」
へいいいい!!こいつは何なんだよ!!まぁ、無事でよかった。
「話は後だ!早く試験場へ…!走れるよ!」
二人はビルの中に走った。
試験場に着き、番号を書く席に座る。
「間もなく、筆記試験を始まります」
ふぅ… なんとか間に合った。ルーナさんは二列前の席かしら。一緒に頑張るよ。
この時、彼女は振り返って後ろに座る私を見る。手を少し上げ、拳を握る。「頑張って」との意味なの!
「そこの君!後ろをふれ返ないでくれ!」
「あわわ!ごめんない!!」
他の受験生たちが笑った。この子は本当に… 面白かったよね!
「引き試験始めてください!」
問題用紙を開く。これは…「エンシェント魔法から一つ選ぶ。その魔法の原理について論述しなさい」。
さすが一流の魔法学園、思ったよりレベルが高い。では、これで… こうして…
解答が終わった。また時間があるようだが。なんで、みんなが難しそうな顔に?!何人かがすでに机の上にうつぶせる。あきらめたようだね。
彼女は?まだ書いている。意外にできるじゃない。
「これにて、筆記試験が終わりました。次は五人ずつ番号を呼びます。番号に呼ばれる人、こちら部屋で属性の適性を測定する」
測定だとう!!化け物の正体に知られるものか!?ふふん、こんなこともあろうかとよ!もう対応手段を用意したよ!
「A-E-163番、168番、171番、172番、175番、以上五名。こちらの部屋へ…」
そろそろ私の番だ。あれ、ルーナさんも一緒かしら。
「エステルさん、先の問題はどう?」
「あぁ、普通です… よね」
部屋に入り、物凄いクリスタルがある。これで適性を測定なのか?このチャンスで、他の人の適性水準を見る。
「まず、163番、前へ!」
男子生徒がクリスタルを触れる。僅かな光が出る。
「炎100 水0 風70 地0 光0 闇0 聖0」と結果が水晶に映っている。
なによこれ!?こんな結果!公開処刑なの!?
その男子生徒が片足ずつ飛び跳ねた。
「やった!オレは
マジ!!?これがいい結果なの!?
「次、168番!」
今回は女の子だ。また少しだけの光だ。
「炎0 水80 風 地0 光0 闇0 聖120」と映る。
女の子が喜びの涙を流れる。
「あっ、あたし、治癒術士の素質があるよ!神様、ありがとう…!」
もうダメだわ。ツッコミしたい… 早く終わりたい!
「次、171番!」
「はい!171番です!」
今回はルーナさんか、彼女の適性はどのくらいかな?
ルーナさんがクリスタルを触れ、光が輝いている。私のレベルとはまだまだ早いが。前の二人と比べ、天と地の差だ。
「炎0 水500 風800 地0 光0 闇500 聖0」という結果を出る。
「凄い!!
傍にいる先生の声が異常に大きい。まるで自分のことだ。傍のルーナは?顎を高くあげ、目がキラリと光る。自信満々な顔だね。
でも、本当にビックリされたのは、ルーナはご令嬢なの!?こんなタイプのお嬢様があるの?世界は広いよね…
「次、173番!」
今回はまた普通の女の子だ。また普通の結果を出した。本人が喜びだけど…
「最後、175番!」
いよいよ私の番よ。まず「
クリスタルを触れ、また光が輝いている。なんで?もうロックしたよ!!
「炎1000 水1500 風1200 地1100 光3000 闇0 聖0」と映る。
「何!!!こっ、これは!!」
先生と生徒たちの目が丸くする。ごめんなさい、私、もう一生懸命に魔力を抑えったのに…
「これは天才だ!!闇以外の全属性!!かつての英雄シャローナ様と匹敵する高い適性!!君は天才だ!!」
この先生はもうダメよ。ごめん!!!
ルーナは私の手を握って、目がピカピカにする。
「エステルさん!凄いですよ!」
彼女もダメよ!!!
「あの、先生。もう大丈夫ですよね。午後はまた実技試験があるので…」
「あっ、すみません。私はついに… 君たちはこちらの出口で… 午後の試験はこのビルの地下練習場で行います。遅刻しないよ!」
よかった!先生が正気に戻った!
「では、失礼します」
ビルから出て、すでに昼ご飯の時間だ。
「ね、ルーナさん。昼ご飯はどうします?そして、恐れ入りますが。手を放してくれませんでしょうか?」
先から彼女に握られたまま。
「あわわ!ごめんなさい!昼ご飯はお弁当持ちますよ!ほら!」
彼女はカバンを開け、しかし、中身は筆記用具以外、何もない…
「あわわ!!お弁当忘れてたよ!」
彼女の
「今日の昼ご飯はどうしょう…」
「あの… ルーナさん。わたくしの昼ご飯がちょっと多かったので、良かったら、一緒に食べませんでしょうか?」
「本当なの!助かったよ!エステル大好き!」
先の世界終焉の表情を急に明るくなる。そして、私の首を抱く。
「あのね!ルーナさん!わたくしを放して…!あそこの芝生で昼ご飯を食べましょう」
「あわわ!ごめんなさい!私、また… 行くよ!」
第二エリアに広い芝生がある。試験が終わる人もたくさんいる。
「エステルさん!コチコチ!いい場所を見つけたよ!」
「おぉ~ 本当にいい場所ですね。ありがとう」
ルーナさんが見つけたのは、木の下陰がある場所だ。今日の太陽はちょっと強い。ここは凄くいい。
「エステルさんは敷物がありますの?そして、お弁当はどこ?そう言えば、カバンがないよ!!まさか、私と同じ、忘れてたの!!?」
「おっ、落ち着いてよ。すぐ出しますよ」
収納魔法を使って、中から敷物を出し、芝生に敷く。
「これでいいですよ!座って…」
「エステルさんは収納魔法さえ使えますの!?」
彼女の目がまたピカピカにする。
「早く座ってよ!午後はまた試験がありますの!」
収納魔法の中に、ワァイスつくったサンドを持ち出した。
「どうぞ食べてください。ルーナさん」
「あわわ!これは!」
「うちのメードさん作ったサンドイッチですよ。食べて…」
彼女がサンドを持ち、口に入れる。目がすぐキラキラにする。
「美味しいよ!このサンド!一流のレストランよりも美味しいよ!!」
「そうかしら?まだたくさんありますよ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます