第10話 王女の決意

 「ここは… どこ?」

 目を覚めたら、神殿のような場所にいる。空に…太陽がないの?晴れなのに…

 「お目覚めたよね。転生者よ」

 ある綺麗な服を着る女性がこっちに来る。いや、綺麗ではなく、この荘厳さ、神よね?

 「あなたは… 神様ですよね?」

 「そうよ、私は癒しの女神、ミネティリスよ。あなたは先に使った治癒魔法は、私に祈ったでしょう?」

 そうよ。先はリザレクションを使って、お父様を救いだったよね。

 

 「では、どうして、どうしてわたくしはここに、お父様は… お父様は大丈夫なの!!?」

 「慌てないで、安心して、あなたの父はもう大丈夫よ」

 「そっ、それは良かった!では、どうして私はここに…?確かに、リザレクションを使った後、気絶したよね…」

 「そう、それは、あなたを特別にここに召喚したよ。あなたに、伝えことがあるもの」

 特別に召喚なの?まぁ、今なら、どんな理不尽なことが起こっても、驚かないよ。

 「はい、女神様。伝えることは何かしら?」

 

 「伝えたいことは3つ。1つは、あなたをこの世界に転生した女神イリス、彼女は異教に封印された。もちろん、あなたの前世の記憶も一緒に封印された」

 すなわち、ドジ女神がイングレイズ教に封印されるなの!?あの異教はこれほど強いの?記憶なんで、もう希望を待たないよ。

 

 「2つは、イリスがあなたに賜えた祝福について、その使い方を教えること」

 あっ、確かに、「運命の女神の祝福」というものだよね。すっかり忘れちゃったよ。

 「その祝福はどんなものでうか?」

 「それは、『見込み』というスキル。すなわち、未来を予知する能力」

 へいいい!意外に役立つ能力よね。ドジ女神がたまにいいものがあるよね…

 「その使い方では…?」

 「そう、その使い方は、寝る前に、心から、感情を込んで、泣くことよ。その後、『夢』の形で未来を予知できる」

 なっ、何それ!!ドジ女神!!何なのよ、このバカみたい条件!!!死んでも使いたくないよ!

 「恐れ入りますが。いま、確かに、『泣き』とおしゃいましたよね…」

 「そう、『泣き』よ。まぁぁ、やはり、これは誰でも使いたくない能力だよね」

 「わっ、わかりました。では、3つ目は?」

 

 「3つは、イングレイズ教は、もう次の攻勢が始まった。このままでは、この大陸は彼らに支配されること」

 「あの、神様の力でイングレイズ教を阻止できませんでしょうか?イリス様も奴らに封印されましたよね」

 「あぁ、それは確かに、残念ですが、イリスは挑発の方よ」

 何よ!!?ドジ女神!!!

 

 「それは一体…?」

 「元々、神界のルールでは、信仰間の紛争は、信徒による争うもの。しかし、イリスは神として、イングレイズ教に挑戦した。封印されたことは納得しなければならないこと」

 「では、やはり、神様がわたくしにこの役目を…」

 「そう、下界のことは人でやらなければならないよ。これが、エクスシア教の神々の意識よ」

 そうよね。私では、人の世界のこと人自身で解決することを理解できる。いええ、元々、そうつもりだったよ。

 

 「はい、わかりました。イングレイズ教を追放すること、本願ですよ」

 「そう覚悟があれば、良いこと。しかし、私として、個人としての提案がある」

 「ミネティリス様の提案…?」

 

 「そうよ、あなたは元々、この世界の者じゃないもの。イリスに無理矢理にこの世界に転生した。もし、あなたが欲しいなら、他の平和な世界で転生できるよ。しかし、前の記憶だけ、私は何もできない」

 あぁ、そうよね。私はただ、この世界に転生した。世界の危機は私と関係ない… かしら?イヤ!違い!あそこには、お父様、お母様、お兄様、そしてメアリーが私を待っているよ。

 「ありがとうございます。ミネティリス様。しかし、わたくしはこのまま家族のところに戻っていいですよ」

 「やはり、あなたは記憶を…」

 「違います。確かに、イリス様に無理矢理に転生することはちょっと理不尽な考えがありますよ。しかし、そのおかげで、わたくしは今の家族を得ました。さらに、まだわたくしやるべきことを残りますよ。申し訳ございません、せっかくミネティリス様のご提案、わたくしのわがままに許してくださいませ」

 

 ミネティリス様は微笑んでいる。

 「どうやら、あなたはすでに未来の道を選んだよね。では、そこの扉で、下界に戻れ」

 「ありがとうございます。では、失礼します」

 

 私は立ち上がって、扉に向かって行く時。

 「スリアっ、やはりあなたは…」

 (「スリア」って、誰?女神様よ、私はミリアよ!)

 「恐れ入りますが。ミネティリス様、わたくしの名前はミリアですよ」

 「あぁぁ、ごめんね… ミリア、これから頑張ってください」

 「はい、では、行きますよ!」

 ――――――――――

 「ここは… わたくしの部屋?」

 目が覚めたら、外はもう朝になる。私は寝室に戻った。リリスがベッドのそばに、寝ている。ぞっと私の側に守って、ありがとう… 手でリリスの顔を触れる。

 「ミリア様、お目覚めですか?私は寝るなんで大変申し訳ございません!」

 「おはよう。リリス、ぞっと側にいて、ありがとうね…」

 「ミリア様が無事で何より、君、すぐ王様に… ミリア様が目覚めました!」

 リリスが他のメードに命令した。

 

 「ミリア様、体は大丈夫ですか。急に気絶し…」

 「もう大丈夫よ。リリス、心配かけて、ごめんね…」


 「ミリアちゃん、ミリアが目覚めたのか!」

 お父様とお母様が寝室に入った。

 「お父様、お母様、心配かけて、ごめんなさい。もう大丈夫ですよ」

 お母様が急に私を抱きしめて、泣いている。

 「私のミリア!無事に良かったよ…! ありがとうございました!神様よ!」

 「お母様… 苦しいですよ… わーわー…  お母様ぁぁ!」

 

 私も一緒に泣いてくる。お父様が私の手を握る。

 「私はもう聞いた。ミリアちゃんが父さんを救いた。ありがとう… ミリア」

 「お父様… お父様が無事でよかったよ! お父様ぁぁ!」


 そうよ。これこそ、本当の欲しいもの。家族の絆というもの。たとえ先はどんな困難な道を待っている。今の選択も後悔しないよ!

 

 「あっ、あの、お父様、わたくし、話したいことがあります」

 お父様の表情が厳しくなる。

 「ミリア、あなたは目覚めばかりだ。お話しのこと。ちゃんと体を治した後だ。今は休んで…」

 「はい、わかりました…」

 「アンナ、私たちはそろそろ… ミリアちゃんが休みを取らなければ…」

 「はい、あなた、では、ミリア、休んでくださいね」

 「はい、お父様、お母様、ありがとう!」

 「では、リリス、ミリアを頼んだぞ、何があったら、すぐ…」

 「はい、わかりました」

 

 お父様とお母様が寝室から出た。

 「リリス、わたくし、しばらく寝たい…」

 「はい、ミリア様、ゆっくりで休んでください…」

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