第6話 憂心な王女

 セオーテスの郊外では、幅広い森がある。毎年のこの時期、王族と貴族たちがここに狩猟する。もちろん、今年も例外ないよ。

 「メアリー、早く、みんなが待ってるよ!」

 「ミリア、引っ張らないでよ。速すぎるよ、ミリアだら!」

 私はメアリーの手を引っ張って、外へ走る。

 

 教会の外は、皆が笑って待っている。

 「アハハ、もう全員揃った。じゃ、狩場に出発!」

 馬車を乗って、私のムリヤリにより、メアリーは気が切れるそうになった。

 「もう!ミリアだら!」

 「ごめんよ。わたくし、ちょっと興奮すぎたもん」

 「そういえば、なんでミリアが馬術の服を…?」

 

 今日の私は赤と白を組み合わせ馬術の服を着ている。それは今日のため、特別作ったよ。

 「もしかして、ミリアも狩りをするの?馬を乗れるかしら?」

 「の、乗さわけないでしょう!?動き安いためよ。動き安い!」

 「うふふ、ミリアが馬を乗せると思うよ…」

 (メアリーよ、私はただ5才よ!どの国のお姫様が5才で馬を乗れるのよ!?)


 馬車が前に走る。私は窓口に外の景色を見ながら、考えに陥る。

 この数日に起こったこともうたくさんだわ。「イングレイズ教団」と「ドラゴンを駆使する人」。さらに、前世の記憶を探すことも。もうどこからすればいいの!?ドジ女神よ、なんでこの世界に転生させたの!?聞きたいでもダメだよ。今、ドジ女神が異教に追放されたよね。あぁぁ、先が見えないよ!まぁね、それはそれ、今はちゃんと狩りで楽しみにしよう!

 

 馬車が止まった。もう着いたらしい。

 馬車に降りて、目の前にはすっごく広い森。ここで狩りをするかしら。いい場所よね。

 

 「ミリアちゃん、メアリーちゃん、もう来たか…」

 お父様が馬を乗って、こちらに向かって呼びかけた。隣はおじいさまとお兄様。えいい!!!!お母様と叔母様も馬を乗っているの!?そして、弓と矢も!?お二人も狩りをするの!?

 「お母様、その格好は…?お母様が狩りをするかしら?」

 「もちろんですよ、毎年もしますよ」

 う、うそ!!!!

 「アハハ、ビックリしたか?わしの娘たちが、全部凄い腕を持つよ!」

 傍のおじいさまが大きい声で喋った。

 

 「陛下、皆の準備はすでに揃いました。ご命令を…」

 「あぁ、ミリアちゃん、ここでお父様がいい収穫を待つよ!では、皆の衆、今年の狩猟は始めよう!」

 お父様をはじめに、皆が馬で駆け走った。私とメアリー、そして使用人たちがここに残っている。

 

 「ね、メアリー、そんな格好な叔母様、前見たことあるかしら?」

 「いええ、あたしは初めて見ましたよ。ミリアは…?」

 「わたくしも初めて見ましたよ。そんな格好のお母様、本当にビックリしましたよ。それ、素敵よね?」

 「あたしもそう思いますよ」

 「じゃ、いつかわたくしたちもお母様たちと同じになりますよ!」


 そう、お母様と叔母様は元将軍の娘。男に負けない強さを持つ女性だよ。私はいつか…


 「クサ、クサ…」

 あっちの木の茂みに何か動いている。

 「メアリー、あっちの声、聞こえるの?」

 「うん、なにかいるの?大丈夫かしら?」

 「大丈夫わよ!わたくし、ちょっと行って見ます。メアリーはここに待って、リリス、わたくしと一緒に行きますよ」

 「それは危険です。ミリア様!」

 「大丈夫ですよ。ここは森の外もの。皆の視線内で、大丈夫ですよ」


 私とリリスが木の茂みの前に行った。何が突然飛び出した。

 「わー、かわいー!」

 真っ黒の猫だ。私はすぐ猫を抱き上げている。

 「メアリー、こっち来て、大丈夫よ、見て、猫だよ」

 メアリーもメートを連れて、こっちに来た。

 「あぁ、本当だよ、可愛い猫だ!」

 この時、木の茂みの中にまだ何か動きがある。あぁ、もう一匹真っ白の猫も歩き出した。

 「わー、こっちの白猫もかわいーよ!」

 「ね、ミリア、黒い子の足、これ、傷口だ、血が流れるよ!」

 

 私も気付いた。黒い猫の前の右足、傷口から血が流れる。

 「リリス、薬があるかしら?」

 「はい、馬車の中にあります、君、すぐ馬車に薬と包帯を…」

 リリスが隣のメードに話した。

 

 「かわいそう… 痛いでしょう。もうすぐ治る。我慢して…」

 私は手で黒猫の頭を撫で、急に手から光が出る。

 「何よ、この光!?何も見えないよ!」

 光が消えた。メアリーが何かを見つけたらしい。

 「ミリア、見て、この子の傷は消えるよ!!!」

 「えいいい!!!本当!!?」

 

 黒猫の足に見る。傷がなくなり、まるでケガをしなったように。

 「ビックリするよ!!!何が起こるかしら!?」

 「ミリア様、これは一体…?」

 傍のリリスも驚きでしょう?この時、白猫も私の足に乗せた。

 「この猫たち、飼いたいよ!そう、お父様が帰ったら、すぐ願いますよ!いいよね、リリス」

 

 リリスの表情は急に変わった。何が考えうように… 突然、大声出した。

 「ミリア様、早く、手を離れてください!」

 「何よ!リリス、声が大すぎ、この子たちを怖さないよ!」

 「ミリア様、そのは猫ではない、豹だ、幼い豹だ!」

 「えいい!!!嘘!この子たちは猫よ!!!」

 「絶対に間違えない、その耳と足、間違えない、豹だ、早く手を離れてください!」

 

 黒猫の耳と足を見る。確かに、猫と違う。

 「こ… この子たち… もう飼えないの…?」

 「はい、申し訳ございません。成年の豹は、かなり危険な動物です」

 私は幼い豹たちを見て、泣いる。黒い子を地面に降りる。

 「ごめんね、君たちを飼えないよ… 本当に飼いたいもの… 」

 幼い豹たちがまるでわかるように、木の茂みに戻り、森の中に戻った。戻る前に、後ろに振り返って、こっちに見る。

 

 私は泣いている。急に何を思い出した。

 「メアリー、リリス、今のこと、誰にも話さないで、三人の秘密よ…」

 「しかし、ミリア様、こんな危険なこと。そして、あの光…」

 「大丈夫、この距離で、後ろの人たちは気づかないでしょう。もしお父様にわかったら、必ず君を叱りるよ。リリスは何の悪いことをしなかった、叱らせたくありませんよ。幸い、メアリーのメードが馬車に薬を取りに行きました。いいよね、メアリー」

 「はい、あたしは大丈夫、絶対に誰にも話しませんよ」

 「ありがとうございます。ミリア様、このリリス、この一生、必ず貴方の側に…!」

 「じゃ、戻りましょう。お父様たちがそろそろ帰るかも…」


 ほぼ夕方の時、お父様たちが戻った。皆がいい収穫らしい。

 「ミリアちゃん、見ろ!これが全部わしの獲物だよ」

 「おじいさま、私の獲物もいっぱいですよ、ほら、見て、ミリア」

 「本当ですよね、おじいさまもお兄様もすごいよ!」

 「アレ、お父様は…?」

 

 話し間に、お父様の姿を見えないことを気付いた。

 「お父様は、後ろですよ」

 私は後ろに向かって見って、お父様の姿が目の前に出た。

 「おいい!ミリアちゃん、見ろ、これが全部お父さんの獲物だよ!すごいでしょう?」

 うおお!後ろの兵士たちが、山ほどの獲物を運んでいる。シカ、イノシシ、クマも!?お父様、凄すぎじゃないの!?

 「お父様、すっごいですわ!お父様、大好き!」

 「クソガキか、明日はぜってに負けね!」

 「私も、明日、絶対にお父様に負けない!」

 隣のお兄様の表情は、なんか、ヤキモチ?ヤキモチのお兄様もカッコイイよ!

 「では、別館を戻ったら、打ち上げよ!」


 別館では、王族と貴族が狩りする時、専用の休憩の屋敷。狩場から30分程度の道程がある。

 「ミリア様、元気がありませんね。やはり…」

 「わたくしはもう大丈夫ですよ。ありがと、リリス」

 今日のこと、解明される前に、誰にも話さない。あの光は一体?イヤな予感がある。また不明なことを増えた。でも、今はちゃんと元気を出して、せっかくいい気分になった。絶対に皆に心配かけたくない!

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