第5話 儀式

 「ミリア様、おはようございます」

 「あぁ、おはよう、リリス」

 新しい一日が始まる。今日は重要な儀式の日だよ。

 

 部屋から出て、廊下に騎士団の護衛たちが待っている。

 「王女様、ボウルズ・インズでございます。部下5名と共に、儀式期間中、王女様の護衛を務めます」

 「あ… あぁぁ、では、よろしく頼みます」

 「はい、光栄です!」


 階段を降りて、皆が待っている。

 「お父様、お母様、そしてお兄様、おはようございます」

 「あぁ、ミリア、おはよう。皆が待ってるぞ」

 今日のお父様がいつもと違い、厳しい顔を出した。お母様も何か心当たりがあるそうね。

 「おはよう、ミリア」

 今日のお兄様が正式な王子の衣装を着て、顔もうすごく元気そうだ。そうよね、昨日の夜の言った通り、お兄様がこの国の未来のために戦う覚悟がある。頑張って、お兄様!

 

 「おはようございます、ミリア」

 「おはようございます、メアリー」

 メアリーは元気がないようだ。何かしら?

 「メアリーは大丈夫の、何があるかしら?」

 「あっ、あの、いええ、なにも…」

 メアリーがなにか言いたいことがあるよね。

 「メアリー、ミリアに話したいことがありますね。大丈夫、話して…」

 「あの、ミリア、儀式の二日間、一人でも頑張って、あたしはここに待ちますよ!」

 

 そうよね。そういうことだよね。儀式では、王族と公爵家当主の叔父様しか出ない。一番上位の貴族も例外でもない。メアリーは私一人のことを心配するかしら。ありがとね、メアリー。

 「心配かけて、ありがとうございますよ。メアリー」

 

 「陛下、全てを準備しました」

 「では、出発っ!」

 「行ってきます!メアリー」

 「いってらっしゃい!ミリア」


 私たちは騎士団の護衛で、馬車を乗る。儀式を催す神殿へ向かう。

 「ミリア様、大丈夫ですか」

 「あっ、大丈夫ですよ。ちょっと心当たりがあります…」

 リリスはいつも私を心配かけたよね。昨日のことを聞くと、誰でも元気を出さないでしょう。周りの騎士団がいつかこの国を飲み込まれる敵だ。たぶん、今王族すべての言動はもう帝国に伝えるかも。護衛というより、監視されたでしょう?しかし、今は何もできないよ。お兄様の言った通り、静かにチャンスを待つことよね。


 「王女様、もうすぐ神殿に到着します。準備してください」

 「はい、わかりました。では、ミリア様、少し準備を…」


 馬車が神殿の入り口に止まった。ここに、すべての上位貴族が迎えている。馬車から降りて、お父様と一緒に神殿に向かう。貴族たちがひざまずいて、お辞儀をする。

 「我々のすべて、この国、陛下のために尽くすことになります!」

 「良い、面を上げ」

 (今のお父様の威厳さが凄いよ。うむうむ、王様の威厳だよね。って、元々王様だよ)


 神殿に入って、神官たちが待っている。一番偉そうな神官がお父様にお辞儀をする。

 「陛下、斎戒沐浴の準備を揃えました。では、陛下と王子様がこちらへどうぞ。」

 「フェリプス卿、ご苦労…」

 「では、王妃様と王女様はこちらの部屋へどうぞ」


 神聖なる儀式に対して、王族が神殿で斎戒沐浴する上で、すべてを神を捧げる心を持って、祈りします。でも、この神はエクスシア教の神ではなく、帝国が無理矢理に改宗されたイングレイズの神。王族に対して、絶大な侮辱のことよ。お父様とお兄様がともかく、たとえ5才の私でも、心からの怒りを絶えないよ。でも、今は無理よ、そのままにチャンスを待つもの。

 

 翌日の朝、神殿のシスターたちに祈りの服を着る。お母様と一緒に部屋を出て、お父様とお兄様はすでにあそこに待っていた。

 「ごきげんよう。お父様、お兄様」

 「おはよう。ミリア、今日は大変疲れかも、頑張ってくれ」

 「はい、かしこまりました」


 私たちが祭壇に来る。ここで、斎戒沐浴した貴族たちはすでに集まった。

 「では、陛下と殿下たち、こちらにお待ちしております」

 フェリプス大神官が祭壇に登り、祈りが始まる。

 

 「我々イングレイズ教の偉大なる創造神よ、我のすべてが貴方に捧げます。聖なる力で、この国を守ることを祈ります…」

 その後、神官たちも同じ言葉で繰り返した。隣のお父様の顔色がすごく悪い。そうよね、なぜ私の国で異教を信仰しなければならないよ!

 大神官の祈りが終わり、祭壇から降りた。次に、お父様が立ち上がった、祭壇にのぼり、祈りが始まる。

 「私、インスシュレター王国国王、エルハート・フェンリット・インスシュレター。大地を守る神々に祈り、この国の大地に恩恵を与えること、心から祈りします!」

 祭壇の下に立っている貴族たちも一斉に祈りする。

 

 お父様が祭壇に立ちあがる。

 「エクセル、ここに来る」

 「はい、お父様!」

 お兄様も祭壇に登った。

 

 「私はここで、エクセル・ハルート・インスシュレターをインスシュレター王国の王太子に宣言する!」

 「エクセル、前に上がれ」

 「はい、お父様!」

 「私エクセル・ハルート・インスシュレター、ここで誓い、この一生、インスシュレター王国の国民の幸せのために、捧げます!」

 貴族たちが全員拍手している。しかし、場の神官たちが、誰でも動かなかった。元々は敵同士の国の教団だよね。

 

 祭壇から出て、私は興奮している。

 「お父様とお兄様、先は凄いですよ!」

 「アハハ、そうがぃ。ありがとね、ミリア」

 「ありがとう、ミリア」

 「では、教会に帰りましょう。明日は狩猟だぞ。楽しんでくれ!」


 神殿から出て、リリスがすでに馬車の前に待っている。

 「ミリア様、大変お疲れ様でした。では、馬車に…」

 「ただいま、リリス」

 夕日の下に、リリスが私に微笑んでいる。

 「お帰りなさい、ミリア様!」


 馬車で教会に戻った。馬車から降りて、私はすぐ教会に走る。

 「おじいさま、叔母様、メアリー!ただいま!!!」

 そこに待っていたおじいさまと叔母様が笑顔を出した。メアリーがこっちに走った。二人に抱き合っている。

 「ただいま、メアリー!」

 「お帰り、ミリア!」


 後ろから来る皆がこっちを見って、優しい微笑んでいる。

 正直に言い、もし時間はここで止めても、ほっとけないこともないよ!

 

 「ミリアちゃん、メアリーちゃん、明日はわしの腕を見せるよ、楽しんでくれ。」

 「はい、おじいさま!」

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