第4話 二人だけの結婚式

俺は母親のウェディングドレスを内緒で持ってきた。 病室は個室だが、8時から10時までが誰にも邪魔されない時間だ。


俺は新郎と神父の2役をする。


「新郎のミッくんは、新婦のセイコさんを健やかなる時も病める時も、変わらず愛し続ける事を誓いますか?」


「はい、誓います。」


「新婦のセイコさんは、新郎のミッくんを健やかなる時も病める時も、変わらず愛する事を誓いますか?」


「はい、誓います。」


「では、誓いのキスを……。」


俺はセイコのウェディングのベールを上げると、これ以上優しく出来ないほど素敵なキスをした。


「では今から新婚旅行の世界旅行に飛行機に乗って出掛けてください。」


「はい、分かりました。」


俺とセイコは雰囲気を出して飛行機のマネをして病室を飛び回った。


それからの俺はセイコの夫として献身的に彼女の世話をした。


「セイコ、背中擦ってやろうか? 水飲む?」


「うん、お願い……。」


彼女は俺に遠慮なく甘えてくれた。


しかし、そんな新婚ゴッコも長くは続かなかった。

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