第2話 病状が……

俺は高校入学と同時に病院に入院したセイコを見舞った。


「なんだ、思ったより元気そうじゃんか?」


俺の前では飛びっきりの笑顔を見せてくれる……

そんなセイコの姿が痛かった。


だからか、俺は周りの人達に臆面も無く、セイコにハグをしてギュッと抱き締める。


「ミッくん……キツイよ。 離して……お話して……今日は学校で どんな事があったの?」


「ああ、ゴメン。 セイコの事が好き過ぎてな。」


「でも……この恋は実らないよ。 良いの?

こんな病気の私で……?」


「健康なセイコなら良くて、入院したセイコは好きに成っちゃいけないのか? そんな法が日本には……?」


「最近、独学で日本の法律を勉強してるんだけど、残念ながら……日本には そんな法律は無いらしいわ。」


「じゃあ、俺はセイコの事を死ぬほど好きに成っても良いって事だな。」


「困った男性(ひと)ね…… 当分解放してはくれなさそうね。」


「いや、迷惑なら無理にとは……言ってないんだ。 俺が願うのはセイコの健康と幸せだよ。 そこに俺が一緒に 居ないとしてもな……。」


「それって何かの歌の歌詞をパクったでしょ! それに私はミッくんの事が嫌いじゃないわ。」


「それって好きって事だと解釈しても?」


「ええ、お好きなように。 敢えて否定はしないわ。」


入院した当時は元気だったセイコも2度目の手術を終えた頃には顔も青白くなり、身体に痛みがあるのか、表情も暗くなりがちだった。

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