セイコへ……

遠野 彬

第1話 出逢い

《 プロローグ 》


ドキドキも、喜びも……恥ずかしさも、みんな 君に教えて貰ったのに。  


ずっと君と一緒に歩いて行きたいと思っていたのに……


俺が中学の時に出会った女性は、高校へ入ると同時に病院へ入院した。

「ミッくんの事が好き。 神様にね、将来ミッくんと夫婦に成れますように……って祈ったの。」

って言ってたのに……。


………………………………………


「んっ? どうしたの? ミッくんったら……」


俺は今の嫁さんの身体に手を回して抱き締めた。


《セイコ……しっかり抱いてやるからな。

ゴメンな、俺も一緒に死んでたらなあ。

………………! ヤベエ! 

こんな事を言ってたらセイコに叱られるな。》


☆☆☆☆☆☆☆


《 本文 》


「どうしたの? 手を繋がれると恥ずかしいんだけど……。」


「ゴメン、今 コックリさん やっててさ、直ぐには止められないんだよ。 あと3分間 じっとしてて……。」


「ふうん、新手のナンパ術ね……まあ良いわ。」


俺がセイコに惚れてたのは確かだ。

中学1年の時に合宿のキャンプファイアで

たまたまダンスのパートナーに成った。


家で勉強してても、ふと寝る前にも

セイコの事を思い浮かべる……。



同じクラスで、席も偶然に近くになった。

あまりにも情が近くなって、話もするが、指でブラの紐をなぞったりして……セイコに叱られてしまう。


どうして そんな事をするのか?と聞かれて……

「好きだから……俺の中にはセイコと壁が無いんだよ。」


それを隣の女友達に聞かれて、大いに引かれてしまった。


「私の事が好きなのね?」

念押しするように聞かれる。


「ああ、女子が珍しいってのも あるかな?」


「それは……好きっていうのと少し違うと思うな。 母親や姉妹にするのに近いかな。 私を好きなら、私の望む事をする事だわ。」


「そうか……。 それで何をして欲しいんだい?」


少し考えて……

「私も男の子と付き合いたくないと思ってる訳じゃないの。」


「じゃあ俺と付き合えよ。 優しくするぜ。」


考え込むフリをして……

「考えとくわ。 それより昨夜の歌番組でさあ……。」


表情を切り替えると……俺の好きなセイコの姿があった。

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