131.緊縛の女囚九
差し出した右手の掌に刀の
対する
それでもと、わざとらしく
「何とも色気のない物言いをするものです。貴方様、そうも陰気ですと他人から嫌われていますでしょう?」
「楽しみの最中に押し入ってくるような無粋な輩に言われることじゃねえな。」
不敵な笑みを浮かべて、
そんな
「時に――」
「ん?」
刀を構えたままに
「楽しみの最中だったと言うことですが。あれ、をやったのは貴方様ですか?」
視線も合わせぬままに
問われてようやく
「俺があいつの指を折ったかっていうことか?」
はんっと、
「そりゃ俺がやったよ。随分と具合が良かったぞ。泣いて、喚いて、助けてくれってせがんできてな。堪らずにいきり立ったほどだ。」
けひひっと随分と野卑な声を上げて粋がる
にわかに、髪が浮き立つ程に、その肌を逆立たせると、
「そうですか、そうですか。分かりました。そう言うことでしたら、貴方様の相手をしてあげましょう。ですがね。それを口にした以上は、貴方様。これからどれだけ後悔することになっても知りませんよ。」
「はん、何を。脅しているつもりか?俺はお前が逃げようが何しようが、どうやったってやるつもりよ。」
左足を前に出して指先でしかと床を踏みしめると、
八相と呼ばれる構えは流派によって形は違うが、
一方で
何も
それでも、と
今一歩、足を踏み込ませて、
二人の間は
「ふっ…ふっ……。」
小さく
後半歩も踏み込めば刀の切っ先が届くのだろう。
見る見る間に
傍らで見ている
不意に
誘うようにして握りしめた刀を
それが単に自分の動きを誘いと
踏み込むならば今だろう、と、
そのまま、
少なくとも部屋の片隅から事態の推移を見つめていた
ただ、その刹那であった。
いつの間にか
「えっ……消えっ……?」
思わずも
そこに居たはずの
慌てて
すっと
それだけで
掌へと伝わってくる衝撃によって、
「なっ、どこへ……!?」
間の抜けた
「ぐがっ……!!」
下から突き上げるように振り抜かれた拳に、
「一体何が……。」
自分が殴られたことも理解できずにのたうって、
その掌を不意に上から足が踏みつけた。
「ぎぅっ……!」
小さな悲鳴を上げて
「差しあたって、今のは
言うや
途端、
「ぐぁぁぁぁぁっっ!!」
体を跳ねさせて
「こちらは
「ぬぐぅ……何をっ……。指はお前が俺のを弾いたのが先だろうがっ……。」
「そも。あの時、貴方様は私を殺そうとしていましたでしょう。指はその応報というものですよ。逆恨みも甚だしい。」
「それは……。」
ぐぐぐと
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