127.緊縛の女囚五
成瀬は満足そうに顎を撫でながら幾度も頷いていて、
しばらくすると、痛みに慣れてきたのか、それとも身をのた打ち回らせる体力もなくなったのか、
「さて、もう一本と行っておこうか。」
どこまでも軽い調子で、
「や、やめ……。」
何度も首を振るうが、
ひゅうっと息を吸い込むと、
そして室内にぺきっと軽い音が響いた。
「あ゛あ゛あ゛あ゛っ!」
「いーひぇひっひっひぇひっ!」
途端に噴き上がったような下品な笑い声を上げて、
「ぐぐうううううぅ!ああああっ!ぐう……!」
その足元で
「ふははははははっ!やはり、やはりなぁ。骨を折った時の人間の跳ね方と言うものは楽しいものだ。これだからやめられん。ああ、堪らない。」
暴れまわる
傍らでは、その言葉を聞いていた成瀬が半ば呆れ気味に溜息をついて、すませた表情で首を振るった。
「分かっておらんな。一番良いのは痛みに耐えられず顔を歪ませている時ではないか。綺麗に整った顔が
「いや、それも分かりますがね。まあ、良いではないですか。それは俺と趣味と言うものです。」
「そうかそうか。ふふ。」
二人して立ち並び、苦痛で涙を流す
その笑みを涙で
息を乱して、浅い呼吸を繰り返し、言葉にならない
「殺して……。」
と、呟いていた。
途端、
「おい、死にたいのか?」
俯いた
ただそんな感情も
それが気に食わなかったか、
「あっ……がっ……。」
頭の皮が剥がれると思うほどの痛みに、思わず
それも構わず
その痛みに、ぎっと
「おい。まだお前を殺すわけないだろう。なんだ、お前はまだ指の三本折れただけだ。この程度で俺の恨みが晴れるとでも思ってるのか?」
「お前には、もっともっと苦しんでもらわんといかん。そうでなくては俺の指とは釣り合いなんぞとれるものか。いいか?俺の指だぞ。俺の指だったんだぞ。お前の指が何本折れても代わりになるものか!」
そう怒声を浴びせるや、
めりっと音がなって、
「がっ……!」
「うぁぅ……。」
その様を眺めていた成瀬が、はあっと溜息をついて、苦言めいて口を開く。
「おい。顔は殴るな。整った顔が歪むのが良いのだ。腫れあがった顔で苦しまれても興がそがれるだけだ。」
そう成瀬が言うと、
自分の顔を掴み上げていた
床を見つめて鼻血をぽたぽたと垂らし続けながら、
悔しくて、口惜しくて、辛くて仕方ないが、それでも何も出来ず、ただひたすらと彼らが楽しむための道具になるしかなかった。
痛みと屈辱とに
「さて、と。ただ指を折り続けるの、そろそろ詰まらなくなってくるな。そろそろ大きいのも一本ぐらいいっておくか。」
手を払いながら軽い調子で
「おお。そうだな。そろそろもっと刺激が欲しいところだったが。だが、痛みで死んでしまわんか?」
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