110.驟雨の乱闘二
「まさか、他にも敵が……?」
大量の人影を目にして、咄嗟に
家屋の壁に隠れながら顔を覗き込ませて
そうしてよくよく眺めてみると、彼らの着る羽織の背中に大きく「剣」と描かれているのが見えた。
「あれはまさか……
驚いて目を見張った
一人だけ際立って背丈が小さく、集団の中でもそこだけ隊列が
「どうして、あの人たちが……。」
それでも理由を強いて挙げるとするならば何であろうかと、
ぽつぽつと小さな雨粒が落ちてきて、頬へとぶつかるのを感じながら、
ふと、
* * *
その特徴的な羽織と、良く見覚えのある先頭の三人の顔に、
一方で、寺の敷地へと一歩踏み込んだ
死体の傍らには彼らの体から流れ出た血が小さな水たまりの様になり、
そしてその中心に立っているのが、手傷を負った女性一人。先日、往来で斬り合い、そして
一歩足を進めて、僅かに湿気った土をじゃりっと足先で音を立てて踏みしめると、
「女ァ!てめえがこれをやりやがったのか!?」
怒号のような声を浴びせられて、
そして
じわりと未だに血が溢れだし、ずきずきと痛みを走らせる腹部の傷を抑えながら、
「おい、どうなんだ!?」
答えようとしない
視線を
「ええ、ええ。私がやりましたよ。ここいらに居るのは全部私一人がやったことです。」
「なっ……!」
「むしろ貴方様がたは、どうしてこちらに?」
その問いに、微かな静寂が間として挟まった後、途惑いながら
「ここで
「ははあ、なるほど、なるほど。」
「貴方様。確かお名前は
問われて、ふっと視線を斜め上に向けた
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