100.荒びた古刹十一
「十三。」
言いながら
そこでようやく敵達が動きに追いついたのか、隙だらけで手ごろな体へと向かって滑りながら向かっていた
ガチンッ――!!
と、互いの刀が衝突した鈍い音が響いて、
くっと、
「反応は良うございましたが……。」
どこか切なげに言いかけて
「何とも力が足りませんねえ。」
そう言って
「オッオオオオオオオ~~~~~~~っっっっ!!!?」
男が恐怖の声を震え上げていく中で、ぐいぐいとその刀は押し込まれていった。先ほど斬りつけられて僅かに開いた服の裾の裂け目から覗く彼女の腕は、筋肉を隆起させ一層に太くなっていく一方で、男の腕はぷるぷると震えて頼りなくそのまま刀を押し込まれ続けていく。
「ほんに力が足りませぬねえ。女の私より。」
最後の一言に、より強く力を籠めて告げた
「ぐ、ぐぅぅぅ~~~~~……や、やめ……。」
自らの刀の
即座に
その指先からは、黒く細い
「ぐぅっ!ぎゃうっ!?があがあああぁ!!!?」
一つ目の叫び声は太ももに刺された熱さと直ぐに駆けのぼってくる痛みを感じて、二つ目は痛みと共に、視界が黒く滲んだことに対する恐怖を感じ、そして更にすぐ後に堪えきれない喪失感と恐怖が襲ってきた困惑によって、三つ目はそれらの複合した酷く混乱した叫び声が混じり合ったことのよって、喉から溢れだしていた。
そんな男の惨状と、苦しむ声に気圧されて、駆け寄ろうとしていた他の男達もぴたりと足を止めてしまった。足を止めてしまえばお終いであった、機を図ることで意気地を振るいだして、だからこそに一緒に襲い掛かったはずが、立ち止まってしまえば、もはやそれまでの勢いも、そんな意気地すらも消え去って、こくりと喉を鳴らしながら、目の前で起こることをただ見つめるしかなくなってしまう。
そんなどこか男達覚悟の薄まった雰囲気を感じて、片手ながらに、
「さあ、これで貴方様はもう助かりませんよ。」
どこか
その軽い音は、
本来、
その
その次の瞬間、男の刀の
「っ!!!???」
目に前で起こっていることが信じられずに男は目を見開く、目を見開いてすわこれは現実かと疑ってしまう。ただ、その瞬間に男が考えるべきは、本当は刀を握る手を払って放り捨てることだった。男が呆然としている間に、
結果として、男の指先は、ぽとりと骨をむき出しにして、その人差し指から薬指までの三本をあっと言う間もなく、宙へと零し終えていた。
「はっ!?ああっ!!うあぁあぁぁっっっ~~~~~っっ!!!!」
ぽとりと、細く、そして
「
みしみしみしと、刀が身を切っているというには全く似つかわしくない音を立てて、刀身が男の体の胸のあたりまで押し切った所で、ようやく男の口から泡が噴き出てしまい、びくんっと
にちゃりと刀を引き抜くのには全くそぐわない音をたてて
「ようやくようやく、これで十と四……ですか。」
斬れば斬るほど楽しいと自覚している
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます