94.荒びた古刹五
取り囲んでくる男達の視線を受け止めながら、槍の
その感情とは裏腹に口元が緩むのを感じながら、
周囲をこの人数に取り囲まれるのは、中々に
「いやはや、こうして眺めてみると、何ともまあ随分と斬りでのある人数でございますねえ。」
呑気に
「何を呑気に言ってやがるかっ。てめえはここで死ぬんだよ。誰の命令でここに来てんのか知らねえが、一人で突っ込んできて、この人数相手に生き残れると思ってんのか。全員で
「ふふっふ、そうでございますか。出来るものなら、どうぞどうぞ。是非にそうしてくださいな。」
何とも侮ったようなことを口にする
真後ろに近づいていた男が、一気に足を駆け
真後ろから跳びかかってきた男が思い切りに刀を振り上げた。
その瞬間、一顧だにもせず
「がっ!?」
槍先ではないために突き刺さりこそしなかったが、思い切りに
そうして再び槍の
一挙に跳ね上がった刃先は駆けこんでくる男の股座から体を掠めると、顎の根元へすっと触れる。喉元から切っ先が肌へと触れるや、さくりと皮膚が裂けて刃先が差し込まれ、そのまま勢いよく顔を両断して、顎から前歯、鼻、そして眉間から額を真っすぐに槍先が通り抜け、頭骨を一気に両断していた。
「ごぽぁがっ……。」
顔を真っ二つにされた男は裂けた喉から溢れる血を溢れ出る吐息で泡だらけにすると、奇妙な鳴き声を上げて倒れ込んでいく。宙へと跳ねた槍先は、血糊を飛ばしながら弧を描くと、瞬間、するりと切っ先を勢いよく
それは槍の柄を持った
地へと柄を突き立てて、それを支点として
「がふっ!?」
先に腹を石付きで突き抜かれた痛みで呼吸も苦しそうにしていた男は、更に頭が蹴り飛ばされた衝撃で理解もできぬままに強烈な気持ち悪さに襲われて、胃液を吐き出してその場に崩れ落ちていく。生茶色をした
その倒れ込んだ男へと、
何度も
完全に動きを止めた男の体から槍を引き抜くと、現れた刃先は内臓の一部を貫いたのか肉片と血と共に黄土色の液体を纏わりつかせていた。
ふっと引き抜いた槍先を振るうと、
「五と六。」
一度大きく槍を振るって見せると、穂先についていた肉片が散らばって、血が地面や周囲に居る男達へと飛び散っていき、それが裾へと
僅かばかりに、その飛び散った肉片が身に振りかかることを
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