89.襲撃直前三
「
なんとも気の抜けた声で
「はいはい。
軽い調子で
「
そう言って
「どうされましたかー?」
二階を見上げながら、軽く声を上げて
「見つかりましたよ!」
「見つかった?」
「あーえっと、ちょっと待ってください!そっちに行きますから。」
待っていてくださいね、と更にもう一度だけ付け加えると、すっと
「
駆け寄ってくるなりに、
「なにを驚いてらっしゃるのです。
「えぇっ……?そんな仲じゃないでしょう……。」
顔を逸らしながらも
「……なんにせよ他の方の目があるんですから、ちゃんと服を羽織ってください。」
「分かりましたけれどね、ちょいとお待ちくださいな。」
言うて、
「それで、なんでしたか?随分と慌てていらっしゃいましたが。」
「ついに見つかりましたよ。」
「何がですか?」
「決まっているじゃないですか。
おやと、
「ほう、もう見つかりましたか。早いものですね。」
正直なところ、最初のころには探すのに一月はかかるかもしれぬと
ちょっと驚いた
「まあ。人探しには慣れています。」
と、どこか得意げに胸を張って
そんな態度に、
「いちいちに態度の可愛らしいお方ですね。」
軽くぽそりと言うと、彼女は聞き取れなかったのか、不思議そうな表情で
「え?なんですか?」
「いいえ、凄いものだと思いましてね。」
「そうでしょう?」
殊更に言ってくる
「ふふ、そうでございますね。……で、それで相手方は、どこにいらっしゃったのですか?」
「ええっとですね……。どうやら彼らは街の東の外れにある、打ち捨てられた古い寺に
「古寺ですか、なるほど潜むには良さそうなところですね。」
ふむっと顎を撫でながら頷くと、
「それにしても、そんな籠ってるような輩たちをどうやって見つけたのです?」
「籠ってると言うても、外の出ずに生きて行けるわけではありませんからね。たとえ中で飯を食うにしても、どこかから集めてこなければなりませんし、なにより男の方たちは、そのう……あの……夜に出かける用があったりしますでしょう?」
多少淀みませながら口にする
「
多少からかう心づもりで
「これは里で教えられた技術ですから。そういうのではありません。」
「そうですか。」
言いながら
「それは、その寺とやらに乗り込みましょうか?」
さらりと
「ええっ?も、もしかして今から行こうって言うんですか?」
「勿論ですよ。早い方が宜しいでしょう?いつ成瀬のご老人に襲い掛かるかもわかりませんから。依頼人に死なれては報酬がなくなって、困ってしまいますからねえ。」
そう言って
「そりゃあ、まあ、そうですけれど……。」
「むしろ何か心配事でもありますか?」
問われて
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