83.結城と石動十七
「いつも私は局長の言うことを、ちゃんと聞いておりますでしょう?昨日の夜だって、
「きょ……局長……?」
どこか弱った様子で
それでもつーんと顔を逸らしたままに一切に口を効こうとしていない
「私の言うことを聞いてくれなかった、
「そんなぁ……局長……。」
睨み合って居る時には何とも端正だった細い糸のような
そんな二人の様子を眺めていると、
そうして、
「
さらりと
「そうでしょうか?」
「そうでしょうよ。だからこそ、昨日の
「そう言うものでしょうか?」
「そう思いますよ。少なくとも私は。」
しれりとして
「ところで。」
話を変えるように
「なんでしょうか?」
「
「ああ、それは……。」
何とも円らな瞳を見上げさせた
「うちは、隊員がそれなりに多いので、それをいくつかの部隊に分けているんです。その部隊を指揮する人を、隊長として任命してるんですよ。」
そこまで言って僅かにのどの乾いたのか、手元にあった煎茶を一口飲むと、ほうっと息を吐いて、そのまま
「一番上が一応私なんですが、その次に副長がいて、それで副長の下に十の隊に分けられてるんです。それでその隊の各々に隊長がいて、更に隊長の下に平の隊員がいるって感じなんです。」
その説明で、
「それで、昨日お会いした
「はい。
「
「頭を剃っていた方ですよ。覚えていませんか?」
「ああ、あの僧兵みたいな方ですか。しかしなるほど、両方とも隊長さんと。その隊長と言うのは強いのだと考えていいのでしょうか?」
「強いですよぉ。隊長さんはみんな強い人から選ばれてますし、特に
ぐっと掌に力を籠めて力説する
そんな
にまりとした表情を浮かべながら
「強い人がなられるのなら、もしかして
そんな
「
「ふうん、弱くて隊長になれなかったとか、そういう所ですか?」
どこか挑発するように
「私は自分から局長を守りたいから、志願して局長付きになったんだ。局長は組にとって最も大切なお方だからな。」
「なるほど。ご殊勝なことで。ですが、それは動機であって、強さとは別の話でございますよね?」
「……試してみるか?」
にじりと体を乗り出して睨み付けてくる
「もぉ、
前のめりになりかけていた
「こんな所で喧嘩は止めてくださいね。もう本当に……。」
「し、しかし、局長……。こんな
「その考え方、殆ど、私たちが取り締まってる人達と
と、言いかけて、
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