69.結城と石動三
「まあ、一応に私も寝てはいるのですよ。
窓から見える名古屋の街を一望しながら、
名古屋の街は、昨日の夜中に見た景色とは全く
床に座っている
「本当ですかあ?本当に多少は寝てるんです?」
「本当にございますよ。」
「へえ。一度、
それは単純な興味であった。
「そんなに私の寝顔など見たいものでしょうか?」
「こうも隠されると、見たくなるというのが人情と言うものじゃないですか?」
「隠してるわけではありませんがねえ。そうですね、
窓の
ただ、それよりも混ぜっ返すような彼女の物言いの方に、
「また、そう言うことを仰って……。」
ふとそこで、
ましてや、
「あの、
「はい。どうかいたしました?」
「私は昨夜の記憶があまりないのですが……、何か変な事をされたりはしておりませぬよね?例えば一緒の布団で寝たりとか……。」
多少に聞きにくいことが故に、
「ふふっふ……
余りに
「えっと……なんなんですか?そんな変な事を言いましたか?」
「いや、ねえ……だってそれは。」
一層に可笑しそうに肩を揺らすと、それで
「
左手の指先を胸元へと当てて、
そうして、もう片方の指先で
その視線が余りにも意味ありげなために、
「それって、どう言う意味ですか……?」
「さあてね。どう言うことでしょうか。少しは悩んでくださいな。私は昨晩、大いに貴女様に悩まされました故に。」
「えっと……?」
何を悩ませたというのか、記憶の無い
「私が何したっていうんです?」
「なんにせよ。」
と、一言区切って前置きして
「とにもかくにも、私は
「誓うって……
「さしあたって神にでも誓いましょうかねえ。」
「
「何を言います。これでも信心深い方なのですよ。」
窓の
「
「それはまた、随分と酷いものの言われように思えますが。」
多少肩を揺らし澄ました表情で言いながら、
「全く……。」
一連の出来事を眺めながら、
どうにも、ふらふらと不用心で
部屋の中で座っていた
「どうかしたんですか?」
「どうにも。ただね、
「はぁ……。」
どうにも
そうこうしていると、窓から朝特有の妙に
夏だというのに、早朝の空気は涼しくて、
「さあて、それでは、そろそろ出かけませんかね。いい加減に人を探さねばなりませんからね。」
言われて、
「そう言えば、そうですよ。
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