Last 家

 ……屋敷のある山の2合目にある広場……



「ここからは歩きだ。」


 3人は車を降りる。途中で寄り道をした為、夜の10時になってしまっていた。満開の桜と優しい月明かり、少しヒンヤリした風が作り出す夜はとても幻想的だった。


「目の前の坂を登ると「ここ……。」

「「「!」」」

「ここ……。この桜……。この明かり……。この風……。全部知ってる……。」

「この風景……。前に見た事がある……。」

「あの時……。って、事は!?」

「ちょ、ちょっと💦」


 3人は坂を急いで登る。しばらくすると屋敷があり、その前に麗菜達が居た。それを見て3人はその場に立ち尽くす。


「3人共!」


「俺達が誰か分かるか……?」

『もう一押し。』


 煉叡が現れ、麗菜達の方へ行く。


「ちょ、ちょっと、3人共速い💦」

「室長、早く。」


 舞姫は玄関の前に立ち、3人を見る。


「「「お帰り、真梛羅、孔醒、夏雅璃弥。」」」


 3人は無意識に涙を流し、体が震える。


「ちょっとは思い出した?」

「元気そうで嬉しい♪」

「お前等が居ねぇーと面白くない(笑)」

「いつもみたいに話しよ♪」

「今日は宴ね♪」

「由優……。麗菜……。朴滋……。櫂麻……。渓御……。」

「大怪我してなくて良かったわ。」

「五体満足だしな。」

「今日の宴はどんなんにしようか(笑)」

「香錬……。河維斗……。赴鳥麻……。」

「それは勿論一番派手なのを!」

「お花見も兼ねて!」

「朝まで騒ご!」

「朝日、皆で見たいね~!」

「汐里……。翠……。津羽軌……。芽絿……。」

「ほら、何ボーッとしてる。」

「えっ……?」


 炎轟は3人を皆の方へ押し、向きを変える。

 舞姫は真梛羅を両腕で引き寄せ、朴滋が孔醒の肩に左腕を回してピースし、香錬は夏雅璃弥に抱き付く。

 舞姫達は3人の所へ集まる。舞姫達の前にはいつの間にかカメラがセットしてあった。


「そういえば皆で写真撮ってなかったね。」

「ほら、いつまで泣いてる。」

「主役は泣いちゃ駄目。」

「カウントダウンするぞ―――!」


 唔天はタイマーをセットして舞姫達の所へ行く。


「3、2、1!」


 カシャ、カメラのシャッター音がする。それと同時に3人は目を閉じた。



 ……10分後、月光の間……



 3人は月光の間で眠っていた。


「写真、取るのマズかったかな……。」

「「「……。」」」

「真梛羅、孔醒、夏雅璃弥!」


 3人はゆっくりと起き上がり、涙を流す。


「ちょ、ちょっと💦」

「何で泣くの💦」

「だって、また……“皆に会えた”……!」

「記憶、戻った……!」


 真梛羅は舞姫に抱き付いて頭を撫でられ、孔醒と夏雅璃弥は周りの皆に冷やかされながら泣いた。


「お帰り、“家”へ。」

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Those sho suffre from sandness(悲しみを抱える者) 夜櫻 雅織 @guitarandcat

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