第39話 大それた嘘

 ……朝6時屋敷、舞姫の部屋……



「舞姫、舞姫!!」


 渓御が布団の中で眠っている舞姫の体を激しく揺する。


「ん~……。な、何~……?こんな朝早くに……。」

「舞姫にも届いてない!?あのメール!!」

「メール……?」


 舞姫は起き上がり、枕元の携帯を見る。携帯には3通のメールが届いていた。

 1通目は真梛羅からで“さよなら、どうかいつまでもお元気で”。

 2通目は夏雅璃弥からで、“今まで世話になった”。

 3通目は孔醒からで“体、壊すなよ”と書いてあった。


「……3人は?」

「何処にも居ないの💦」


 舞姫は起き上がり、服を着替え始める。


「渓御、今から巡査達に電話するから皆起こして身支度しとき!!」

「は、はい!!」


 渓御は部屋を飛び出す。

 舞姫は唔天に電話する。


『舞姫、丁度良い所に!あいつ等、敵国のスパイじゃない!!』

「えっ……?」

『あいつ等、“指名手配中の半人狩り”だ!!あいつ等、俺達を騙してた!!俺達が敵国と連絡を取れないのを利用したんだ!!』

「し、指名手配……?は、半人狩り……?世界の……?」

『ああ、そうだ!!奴等は世界中で指名手配されてる!!今から兄者とそっちに行く!!それまで事は起こすなよ!?軍、動かして奴等を潰すからその作戦を聞け!!』


 プツッ。唔天との電話が切れ、舞姫は唖然し、その場に立ち尽くす。


「舞姫!?お、おい、どうし―――」


 ガンッ!!舞姫の足元の床が傷む。


「!?」

「あのガキンチョ共……!!朴滋!!」

「お、おう!!」


 朴滋は驚きのあまり敬礼をしてしまう。

 舞姫は朴滋の方を見る。

 その姿は修羅を思わせるような存在感があった。


「皆で手分けして地図とありったけの武器を本部室と隣の会議室に集めて!!巡査達と協力して3人を取り戻す!!」



 ……ブラッドキャッスル……



「さて、と。」


 百鬼は部屋に入る。

 3人は泣き疲れた顔で根に囚われたまま目を閉じ、倒れていた百鬼は3人を抑えている手から生えている赤、青、緑の煙が閉じ込められた宝珠のような物を回収する。


「次の国に行くぞ。ここはもう用済みだ。」


 百鬼達はその場を去った。

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