第35話 久しい声

 ……4月10日、本部室……



 そこでは誰1人声を出さなかった。



「近頃、元気がないですわね?」

「「「瑠卸……!!」」」

「俺が“醒城家の生き残り”を死の淵まで追いやったからな。で、あの3人は死んだのか?」

「……黙れ。」


 麗菜達は2人を睨む。

 麗菜達は身構え、2人に攻撃を開始する。


「生きては帰さない……!!」


 津羽軌は廊下や壁の両サイドに氷の壁を作り、逃げ道を塞ぐ。


「それはこっちの台詞。全員、ここで死んでもらう。晴螺!!」

「了解~♪」


 晴螺が舞姫の後ろに現れ、捕まえる。


「「「舞姫!!」」」

「さて、と。惰邪を返せ。そうすればそいつは“生きて”返してやる。」


 舞姫は脱出し、下を向く。


「何考えてるの、3人はまだ死んでないよ!!」

「でもメールも返ってこない……。」


 麗菜達は動きが止まり、目の前が真っ暗になる。


「私は、守れなかった……。白泳さんの期待に、応えられなかった……。私は、もう、室長として生きては、いけない……。」


 麗菜達はその場に座り込み、戦機を失う。


「……クク、計画通りだ。舞姫以外、殺していく―――」


 ゴオオオオオオオオオオォォォォォォオオオオオオオオオオ!!炎柱が廊下を塞いでいた氷壁を溶かす。

 舞姫達がゆっくりと顔を上げる。


「炎……?」

「夏雅璃弥……?」

「瑠卸、晴螺、逃げ―――」


 百鬼の左足に白く輝く槍が刺さり、床に倒れる。


「なっ……!?」

「「参謀!!」」

「孔醒……?」


 晴螺を舞姫から離して瑠卸と百鬼の方へ突風で吹き飛ばし、中庭へ追い出す。


「ただいま、皆。」


 舞姫達が声の元を見ると、真梛羅が立っていた。

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