第21話 衝撃

「「なっ……!?」」

『俺は先代である白泳に色んな事を教えられた。言葉や人間の体の仕組み……。そして色々な事を覚えさせられた。真梛羅の家族。分家の名前も……全て覚えさせられた。だが、その中に“百鬼”などと言う名はない。』

「そんな……!?」

「じゃあ真梛羅は見ず知らずの男を何故兄と思い込ん「皆……。」


 真梛羅は体を動かさず、少しだけ目を開ける。

 目は少し黒く陰っていた。


「真梛「待て、真梛羅の目をよく見ろ。薬が効いてる。あの薬は一時的に神経を遮断する。今の真梛羅は神経を遮断され、体が麻痺してる。今の真梛羅の言葉は夢の中の言葉、俺達に話し掛けてるんじゃない。」

「「「……。」」」

『真梛羅……?』

「暗い……。お父さん……。お母さん……。お祖父ちゃん……。百鬼……。皆、何処に……」


 真梛羅は再び目を閉じる。

 真梛羅の呼吸は落ち着きを取り戻していた。


『……眠りが深くなった。』

「記憶でも弄ったのか……?」

「そんな事が出来るのか?」

「やり方は知らないけどな。だが、副作用は出てないから違うな……。あれは過去を全て忘れてるからな……。」


 ―――プルルルルル……。


 唔天は携帯の液晶画面を見て動きが止まる。


「唔天、出ないの?」

「瑠卸、から……。」

「「「!!」」」


 煉叡は真梛羅を体と首にくっ付け、麗菜が両手で真梛羅の耳を塞ぐ。

 唔天は音量を上げて、耳から離して電話に出る。


『今、お時間良いかしら?』

「構わん。」

『私の組織の参謀が話をしたいって言ってるの。許可してもらえないかしら……?場所は何処でも良いわ。』

「参謀……?」

『ええ、あっ。真梛羅ちゃんと孔醒とは会わせないで戴けないかしら?』

「……珍しいな。しかも孔醒まで?」

『“発作”を起こされたら敵いませんの。』

「……何故その事を?それに孔醒は『どうせなら今起こさせましょうか?孔醒の方は直ぐですし、真梛羅程酷くはないですの。』

「俺が発作!?そんなのありえ『孔醒。』

「それだけで発作が―――」


 ―――ドサッ。



「孔醒、しっかりしろ!!」

「なっ……!?」

『はぁ~……。参謀、気が早過ぎますの。……ええ、そうよ。分かりましたの、失礼。それで?受け入れて下さいますの?後、これは頼みなのであの取引とは関係ないから拒否権はありますのよ?』

「月光の間、2日後に屋敷へ。」

『分かりましたの。』


 通話が切れた。


「孔醒!!」


 朴滋は孔醒の体を揺するも反応はない。


「お、おい!!」

「と、とりあえず中へ💦」


 朴滋は孔醒を仰向けにし、部屋の中へ引き摺り込む。


「……気絶してるみたい。」

「何が原因だ……?名前なら、俺達が何度も呼んでる。」

「孔醒の名を呼んだ人物が怪しいな……。」

「どうした?」

『俺、孔醒のその寝顔……以前に何処かで……。』


 煉叡は尻尾で孔醒の頬に触れば孔醒の右頬に黒竜の刺青が出現する。


「「「!?」」」

『分家の、響輝ひびき……!?』

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