第20話 発作
「良し、全員揃ったな。実は10年前、一度真梛羅が俺達警察から逃げ出したんだ。6年間一緒に居たが途中で怖くなったんだろうな。そして、真梛羅は3日後にある川の浅瀬で発見された。その3日の間の1日に事は起こった。」
唔天は視線を落とす。
「真梛羅は恐怖で気が動転したまま山奥へ逃げた。ここからは情報不十分だが憶測で話をする。真梛羅は山奥へ逃げ、そこである1人の少年と出会った。その少年も真梛羅と同じ半人だった。」
「ちょ、ちょっと待てよ。10年前はまだ「ああ、半人は人間に狩られていた頃の話だ。だからこそ必死に捜したんだ。そして、真梛羅と少年は仲良くなり、一緒に遊んでいた。しかし、最悪のケースに陥ってしまった。」
「最悪の、ケース……?」
「その山の麓にある人間の村の者に、見つかってしまった。」
「「「「「!!」」」」」
「2人は必死に走って逃げた。しかし、人間共が、村人が放った矢が少年の足に刺さってしまった。少年はその場に倒れ、走れなくなった。その少年は真梛羅だけは必死に逃がそうとした。だが逃げた先に村人が居て、真梛羅が捕まってしまった。少年は何らかの能力で村人を倒し、真梛羅を崖に突き落とした。」
「が、崖に……?」
「その崖の下にはとても大きく深い川が流れていた。それを知ってて突き落とした。その結果、真梛羅は生き残り、俺達が保護した。」
「2日も川を流れてたって言うのか……?」
「泳ぎ方も、息継ぎの仕方も知らなかったからな。幸い、山の麓にある村の川に繋がって居なかった。だから今、真梛羅は生きている。でもそれがあの発作の原因になってる。だから俺は半人の真梛羅と似たような悲しみを抱えた者達を集めたこの組織を師匠の言う通りに作り、最高責任者として見守っている。」
「その少年はどうなったの……?」
「真梛羅を逃がして直ぐに山火事があり、焼死体として発見された。あれから真梛羅はあまり笑わなくなり、自分を閉じ込めた。あの肢体を見た瞬間、それが真梛羅の初めての発作だ。」
「その子の、名前は……?」
「百鬼。真梛羅と同じ、人間と8種族の妖などの血が混ざった子だ。」
「!!」
「真梛羅は実の兄だと言い張っている。舞姫、煉叡、心当たりないか?」
「百鬼、真梛羅が初めてここに来た日の夜……。ここを訪ねてきたわ。」
「あの時……!?」
「死んだ人間が、蘇ったと言うのか……?」
「おいおい、大事な事忘れてねぇーか……?あいつは5年前に死んだって真梛羅が「そう思い込んでる。真梛羅は少年の死体を見たあの日から5年前までショックで倒れて意識が戻らなかった……。真梛羅の時はある意味あの日を最後に止まってしまっている。」
『……クク。ふふふ……w』
「煉叡……?」
『寝惚けた事を言うな。』
「寝惚けてないわ、本当に来たのよ!?」
「俺は嘘を吐いてない。」
『言ったはずだ、この娘の身内は全員死んだと……。それに、この娘は、真梛羅は一人っ子だ。』
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