第25話 悲劇の始まり

 ……12月29日、夏雅璃弥の部屋……



「ぐっ……。」


 夏雅璃弥は起き上がり、携帯を見る。


「2日……。1日半寝てたの「大人しくしてもらいましょうか。」

「!!何でお前「お静かに。」


 惰邪が真梛羅を壁に吹き飛ばす。

 夏雅璃弥は立ち上がり、惰邪に攻撃しようとするが、惰邪が夏雅璃弥の目の前に立つ。


「……何の真似だ。そんな事をしても俺には効か「本当にそうかしら?」

「何だと―――」


 ―――カチッ。

 い、今の、音……。ま、まさか……。

 夏雅璃弥はゆっくりと胸元を見る。そこには拳銃が突き付けられていた。


「拳、銃……?」

「ええ。貴方、これ駄目何でしょう?」


 何、でここ、に……?辞め、ろ……。俺、に、それ、を、近付け、る、な……。


「可哀想に……。5つの時に“目の前でご両親を射殺”されたんですってね……?」

「な、ぜ、そ、れ、を……。」

「……ふふ、面白い子。寒くて震えてるのかしら?それとも“これ”が怖いのかしら?」


 夏雅璃弥は息がしにくくなり、怯え、体が動かなくなってしまう。


「貴方にはこのまま人質になって貰うわ。その様子じゃ逃げられないわよね?」


 惰邪はマントで夏雅璃弥を覆い隠そうとし、それに従って夏雅璃弥はその場に座り込み、目を閉じていく。

 意、識、が……。何、で、俺、が、俺よ、り、小さく、弱い、はず、の、こいつ、に……。


(惰邪)「此方にいらっしゃい。私が可愛がってあげる。」


 夏雅璃弥は底のない深海へ沈んでいくような感覚に襲われる。

 でも、良かっ、た……。俺、を、俺、の、代わり、に、死ぬ、奴、が、これ、で、居なく、なる……。

 夏雅璃弥は後数cmしか開いていない目で目の前にある銃口と2つの赤く光る眼を弱々しく見る。

 ごめん……。親父、母さん……。“約束”、守れ、そうに、ない……。

 夏雅璃弥は紅の血の涙を右眼。普通の涙を左眼から流しながら死を覚悟し、目を閉じ


「夏雅璃弥に近付くな――――!!」


 赤い目、右眼の横に炎の刺青、白い9つの尾、白い狐耳の九尾姿の斑が龍涙で惰邪を中庭へ吹き飛ばす。


「っ……!?」

「煉叡!!」


 煉叡が黒い煙から現れ、惰邪と交戦する。

 真梛羅の、声……?

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